カナダのマーク・カーニー首相は、ダボス会議で行った演説の終盤で、中堅国が結束して「第三の道」を模索する必要性を訴えた。演説の序盤では、チェコ共和国初代大統領バツラフ・ハベル氏が指摘した社会の虚構について言及し、その考えに立ち返る形で議論を展開した。
「第三の道」の前提と選択肢
カーニー首相は、大国がしのぎを削る世界において、中堅国には二つの選択肢があると指摘する。第一は強い力を得て大国となること、第二は強者に屈服することだ。これに対し、「第三の道(a third path)」は、そのどちらでもなく、互いに協力して実効力のある道を切り開くことだと述べた。
英文で「a third path」と不定冠詞が使われている点について、演説を分析する記事では、順番を示す語には通常「the」が付くが、ここでは内容が未定で様々な可能性があるため、不定冠詞が用いられていると解説している。また、「wield」は「武器などを手に持つ、使う、行使する」ことを意味し、この後の「it」は「the power of legitimacy, integrity and rules(法や国の一体性、ルールといった力)」を指すとされる。
「真実に生きる」とは何か
カーニー首相は、ハベル氏の「真実に生きる」という理念を引き合いに出し、中堅国にとっての意味を問いかけた。まず第一に挙げたのは「naming reality(現実を直視すること)」だ。動詞「name」は「何かに名を付ける」ことだが、米国出身の同僚によれば、「対象の本質を把握する」「率直に言う」など比喩的な意味も多いという。心理学では、自分の感情への対処法として「name it to tame it(把握できれば対処できる)」という表現があると紹介された。
第二に、「acting consistently, applying the same standards to allies and rivals(一貫した行動を取り、同盟国にも競争相手にも同じ基準を適用する)」ことを挙げた。第三に、「building what we claim to believe in, rather than waiting for the old order to be restored(古い秩序が回復されるのを待つのではなく、自分たちが信じるものを築き上げていく)」ことも指摘した。
国内経済の強化が喫緊の課題
最後に、カーニー首相は、大国に付け入られないためには、堅固な国内経済を築くことが喫緊の課題であることを添えた。演説全体を通じて、中堅国が結束し、法やルールの力を行使することで、混迷する世界を進むための道筋を示そうとした。



