チャンネル正論【月刊『正論』リポート】では、北朝鮮による日本人拉致問題の核心に迫るため、富山湾岸に残る工作員の足跡を2日間にわたって追跡した。特定失踪者問題調査会代表・鉄ちゃんブルーリボンの会「駅長」荒木和博氏の解説のもと、拉致事件の現場を巡る旅が行われた。
JR氷見駅近くの北朝鮮工作員侵入ポイント
最初に訪れたのは、JR氷見駅にほど近い北朝鮮工作員の侵入ポイント。この場所は、かつて工作員が密入国に利用したとされる海岸線であり、現在もその痕跡が残る。荒木氏は「ここは工作員が上陸しやすい地形で、実際に複数の侵入が確認されている」と指摘する。
雨晴海岸の「アベック拉致未遂事件」現場
次に、雨晴海岸で発生した「アベック拉致未遂事件」の現場を視察。この事件では、カップルが工作員に拉致されかけたが、間一髪で逃れたとされる。荒木氏は「当時、工作員が車で追跡し、拉致を試みたが、幸運にも未遂に終わった。この地域では拉致の危険が常にあった」と説明する。
伏木国分事件の現場と酔いつぶれた工作員
続いて、伏木国分事件の現場へ。この事件では、なぜか駅のホームで酔いつぶれた北朝鮮工作員が発見された。荒木氏は「工作員が任務中に飲酒し、無防備な状態で見つかるという異例のケース。当時は警察も困惑した」と振り返る。
黒部川河口の水中スクーター発見現場
平成13年に発見された北朝鮮工作員の水中スクーターは、富山県警本部で展示されている。その発見現場である黒部川河口も訪問。荒木氏は「水中スクーターは工作員が密入国に使用したもので、日本の警備体制の甘さを露呈した」と述べる。このスクーターは、工作員が海岸から内陸へ移動する際に使用したとみられる。
富山県東部で相次ぐ未成年の失踪事件
富山県東部では昭和43年、1カ月の間に2人の未成年男女が相次いで行方不明になっており、北朝鮮による拉致の疑いが濃厚だ。荒木氏は「これらの失踪事件は拉致の可能性が極めて高く、今もなお解決していない」と強調する。
越中宮崎駅近くの百日紅の苗木
富山県最東端の駅・越中宮崎駅の近くには、横田滋さん、早紀江さんが拉致問題の解決を願って植えた百日紅(さるすべり)の苗木がある。20年を経て大きく枝を広げているが、解決への道はまだまだ遠い。荒木氏は「苗木は成長したが、拉致被害者の帰国は実現していない。私たちはこの問題を風化させてはならない」と訴える。
今回のリポートでは、あまりに事件が多すぎてすべてを紹介しきれなかったが、富山湾岸には北朝鮮工作員の足跡が数多く残されている。拉致問題の解決には、現場の記憶を後世に伝える継続的な取り組みが不可欠だ。



