米国のトランプ政権は18日、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の赤根智子所長を制裁対象に加えると発表した。軍事作戦をいとわない米政権は、戦争犯罪を追及するICCを「米国の主権に対する脅威」とみなしており、圧力を一段と強めた形だ。
制裁の内容と影響
制裁により、赤根氏が米国内で保有する資産は凍結され、金融機関を含む企業、個人との取引が制限される。米国に拠点をもたない銀行に制裁順守の義務はない。ただ、各国の金融機関は米国と関係を持っており、制裁に抵触することを恐れ、赤根氏との金融取引を控える可能性は高い。
ICCと米国の対立の背景
ICCは個人の戦争犯罪などを追及する常設機関で、赤根氏は2024年3月に日本人初の所長に就任。ICCはパレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡り、イスラエル首相に対して逮捕状を出した。イスラエルを擁護するトランプ大統領は反発し、ICCの裁判官らに制裁を科してきた。
トランプ氏は過去、アフガニスタンに駐留した米兵の戦争犯罪へのICCの捜査にも反発。ルビオ国務長官は18日、ICC非加盟の米国やイスラエルの国民に管轄権を行使することを「主権侵害」と主張した。米国務省報道担当者は同日、「措置はICCに向けられたものだ」とし、日本政府を罰するものではないと強調した。
一方、ICCは「国際法秩序そのものが危険にさらされる。我々は引き続き全面的に使命を遂行する」と声明を出した。セネガル出身のICC弁護士も18日、制裁対象に追加された。
日本政府の対応
日本政府は19日、ICCの赤根智子所長が米国の制裁対象となったことを受け、「大変残念だ」とする北村俊博外務報道官の談話を発表した。ICCへの一貫した支持を改めて表明し、「引き続き、国際社会における法の支配の強化に取り組んでいく考えだ」と強調した。



