中国社会の圧倒的な格差と閉塞感、そして人の生き様を解説してみせる本だ。
富の集中と広がる弱者意識
1%未満の超高所得者に富が集中する上下構造のなかで、政府権力にも、財産や教育にも手が届かない者が大多数を占める。勝ち組にみえる者も追い立てられて弱者意識を抱えているという。そして努力は報われない、能力主義ではない要素が人生に作用しているのではないか、不公平だと人々は訝しがっている。
逃避の諸相と統治への問い
かくも厳しい現状のなかで、(なぜか)共産党や国家に希望を託す者や、無気力になる者もいるが、競争社会に巻き込まれてしまう現状から逃避しようとする人々も後を絶たない。推し活や宗教にのめり込む、「潤日(ルンリィー)」のように海外への移住をする者もいるが、悲惨な選択に向かう者もいる。
著者は中国の統治があたかも米国の民主党のように、人々の政治への期待から離れていると警鐘を鳴らす。同感だ。上がり始めた抵抗の声を聞き、抑圧ではない良い統治に向かえるのか、政治が問われている。
スラング(俗語)なども紹介されている。中国語の知識がなくとも漢字から意を摑めるだろう。(2200円)



