ネパールと中国の国境地帯で発生した大規模な土石流について、ヒマラヤ山脈周辺の気候変動対策に取り組むネパール人研究者が、トランプ米政権による国際援助の大幅縮小が防災・減災対策に影を落とした可能性があると語った。今回の災害を「山の津波」と表現し、気候変動に伴う温暖化が一因だとの見方を示した。
USAID解体で共同事業が終了
取材に応じたのは、中国やインドなどの周辺国とつくる研究機関「国際総合山岳開発センター(ICIMOD、本部・カトマンズ)」の研究者、ラジェシュ・バハドゥル・タパさん。人工衛星で集めたデータを分析する専門家で、ヒマラヤ周辺で気候変動対策を進める笹川平和財団との共同研究を率いている。
タパさんによると、第2次トランプ米政権が2025年に米国際開発局(USAID)を事実上解体したことでUSAIDからの資金供与が途絶え、ICIMODの米航空宇宙局(NASA)などとの共同事業が終了に追い込まれたという。
「事前に把握できた可能性はある」
「(共同事業が)実行できていれば、(土石流を引き起こす)現象を事前に把握できた可能性はある」。タパさんはそう語った。
共同事業ではネパール向けのリモート監視システムを開発予定だった。USAIDからの供与額は「全体予算の5%程度」と限定的だが、既に実地調査を終えて設計段階に入っていたシステムが完成していれば「(発災時に)何か発信できたかもしれない」と話した。
支援停止の影響と新たな支援者探し
タパさんによると、米国の支援停止以降、他の国からも支援額を減らすなどの動きが出たという。ICIMODはいま、気候変動対応向けの基金など新たな支援者を探し、米国が抜けた穴を埋めようとしている。



