2025年12月31日午前5時45分ごろ、フィンランドの通信最大手エリサ社から同国の国境警備隊に「バルト海で通信ケーブルが損傷した」との通報が入った。ロシアのウクライナ侵攻以降、バルト海で暗躍する「影の船団」(シャドー・フリート)の仕業が疑われた。海底でいかりを引きずり、重要インフラを次々と損壊させるのが手口だ。
被害拡大を防ぐ緊急展開
被害の拡大を防ぐには時間との勝負になる。国境警備隊は、被害地点や海の状況から容疑船を特定。海上哨戒機やヘリコプター、外洋哨戒船を急行させた。
いかりを下ろしたまま航行する白と紺色の全長132メートルのフィットバーグ号を、エストニアの排他的経済水域(EEZ)内で発見した。容疑船にフィンランド領海内への移動を要請した上で、午前11時5分、領海内で沿岸警備隊と警察の合同特殊部隊がヘリコプターから突入した。
6分で制圧、乗組員14人を拘束
突入から6分後には操舵(そうだ)室を制圧し、ロシア人船長ら乗組員14人全員を拘束した。海底ケーブルの切断に関与したとみられる。
国際通信の99%を担い、膨大なデータが行き交う海底ケーブルは、デジタル社会のチョークポイント(急所)としての存在感を増している。地政学的対立や災害で機能を失えば幅広い社会・経済活動に影響しかねず、各国が警戒を強める。
一般的な海底ケーブルは直径2センチほどで、中心に束ねられた光ファイバーは髪の毛1本よりも細い。生成AI(人工知能)の普及で重要性を増すこのデータ流通の動脈が、あちこちで脅威にさらされている。



