林志玲、TAICCA董事辞退で浮き彫りになった台湾芸能人の「親台」「親中」問題
林志玲董事辞退が示す台湾芸能人の「親台」「親中」問題

台湾を代表するモデルで俳優の林志玲(リン・チーリン)さんが、2026年5月21日、自身のSNSで文化内容策進院(TAICCA)の董事(役員)就任を辞退すると発表し、台湾社会に衝撃が走った。林さんは日本のEXILEのAKIRAさんの妻としても知られ、日本にも多くのファンを持つ。TAICCAは台湾の文化部(日本の文部科学省に相当)の監督下で2019年に設立された行政法人で、台湾の文化コンテンツ産業の成長を担う中核組織である。

林志玲の董事就任発表とその後の波紋

TAICCAは5月13日に林さんの董事就任を発表し、台湾メディアで大きく報じられた。しかし、発表直後から林さんの過去の対中姿勢や中国市場での活動歴が問題視され、一部の文化関係者や政治評論家の間で激しい議論が巻き起こった。林さんは中国での映画出演やブランドキャンペーンへの参加など、中国市場との結びつきが強く、これが「親中」とみなされたことが辞退の背景にあるとされる。

林さんはSNSで「私の力不足で、皆様の期待に応えられないことを深くお詫びします」と述べ、辞退の理由について具体的には触れなかったが、台湾メディアは「親中派」とレッテルを貼られることへの懸念が影響したと報じている。

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台湾社会に存在する「親台」「親中」という恣意的な尺度

この問題は、台湾社会に根深く存在する「親台」「親中」という恣意的な尺度を改めて浮き彫りにした。芸能人や文化人が中国市場で活動することは、しばしば「親中」とみなされ、台湾独立派から激しい批判を受ける。一方で、台湾独立の立場を明確にすると、中国市場からの締め出しや中国ネットユーザーによるバッシングに直面する。林さんは中国市場での成功と台湾での人気を両立してきたが、今回の董事就任を機に、そのバランスが崩れた形だ。

林さんはこれまで、中国の映画『赤壁』や『101回目のプロポーズ』などに出演し、中国でも高い知名度を誇る。また、中国のブランド「Tian Wang」の広告塔も務めた。こうした活動が、台湾の一部の独立派から「中国への迎合」と批判された。一方、中国のネット上では、林さんが台湾独立派から批判されていることに対して「台湾は中国の一部であり、林志玲は正しい立場を取っている」という声も上がっている。

中国からの過激な圧力が大問題

台湾の芸能人に対する中国からの圧力は、年々強まっている。中国のSNS上では、台湾芸能人の政治的発言に対して過激なバッシングが行われることが多く、場合によっては中国での活動が事実上不可能になるケースもある。林さん自身も過去に、中国のネットユーザーから「台湾独立派」と疑われたことがあるが、その都度「私は中国人です」と発言して火消しに努めてきた。

しかし、今回のTAICCA董事辞退問題では、中国からの直接的な圧力があったという報道はないものの、台湾内部の政治的分断が林さんの決断を促したとみられる。台湾の政治評論家は「林志玲は台湾と中国の両方で成功している数少ない芸能人。彼女の辞退は、台湾の文化人が中国市場と台湾国内の政治的压力の板挟みになっている現実を示している」と指摘する。

TAICCAの役割と今後の展望

TAICCAは、台湾の文化コンテンツ産業を成長させるために、映画、ドラマ、音楽、出版、アニメ・漫画・ゲーム(ACG)、ファッション、さらにARやVRなどの文化テクノロジー分野まで幅広く支援している。特に、海外制作会社との共同製作への資金支援や、IT・半導体技術を活用した没入型コンテンツの開発に注力しており、日本市場や東南アジア、さらにはハリウッドへの進出も目指している。

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林さんの辞退により、TAICCAは新たな董事を選出する必要に迫られているが、今回の問題で、台湾の文化振興機関が政治的な分断の影響を受けることが明らかになった。今後、台湾の文化人が国際的な活動と国内の政治的压力のバランスをどのように取るのか、注目が集まる。