クーデター未遂事件の概要
2016年7月15日、トルコ軍の一部がエルドアン大統領を中心とする政権を倒そうとクーデターを起こした。反乱部隊は最大都市イスタンブールや首都アンカラで国会や治安機関を攻撃。政府側に残った警察や軍の部隊が翌16日までに鎮圧した。一部の市民も政府側に加わった。政府などによると、反乱部隊に関与した軍人は8651人。死者は250人を超え、負傷者は2700人以上にのぼった。
トルコの政治体制とエルドアン大統領
トルコはNATO加盟国で、中東と欧州の架け橋として重要な位置を占める。エルドアン大統領は2003年に首相就任以来、経済成長とイスラム的価値観の重視で支持を集めてきた。しかし、次第に強権的な姿勢を強め、クーデター未遂後はさらにその傾向が加速した。
クーデター後の大弾圧
政府は首謀者をギュレン派と断定し、大規模な粛清を実施。軍、警察、司法、教育機関などで約13万人が公職追放され、約5万人が逮捕された。非常事態宣言が発令され、2年間継続。メディアへの統制も強化され、多くの新聞やテレビ局が閉鎖された。
統治の変容: 大統領制への移行
2017年の国民投票で憲法改正が承認され、議院内閣制から大統領制へ移行。2018年の大統領選でエルドアン氏が就任し、首相職は廃止された。大統領に大きな権限が集中し、立法・司法への影響力も強まった。
トルコの現状と課題
経済面では、通貨リラの暴落や高インフレが続き、国民の生活は圧迫されている。外交面では、NATO内での摩擦やシリアへの軍事介入など、強硬な姿勢が目立つ。一方、シリア難民の受け入れやアフリカへの影響力拡大など、独自の外交路線も展開している。
10年を経て
クーデター未遂はトルコの政治体制を根本から変えた。エルドアン大統領の権力は絶対的なものとなり、反対派の抑圧は続いている。国民の間には、強い指導者を求める意識と、民主主義の後退への懸念が交錯している。



