国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指す国宝・彦根城(彦根市)の5回目の挑戦が山場を迎えている。9月末までに開催予定の文化庁の文化審議会で、登録への「第一関門」となる国内推薦の可否が決まる見通しで、超党派の国会議員らも政府に登録実現を求めるなど、地元の悲願達成に向けた機運も高まっている。
「大名統治」象徴をアピール
7月19日、与野党の国会議員でつくる「彦根城世界遺産登録推進議員連盟」のメンバー15人らが彦根城を視察し、市の担当者が彦根城の特徴などを説明した。視察後、議連会長の上野賢一郎・厚生労働相(衆院議員)が、推薦決定に向けた手続きを着実に進めることや、政府を挙げて取り組み、2028年の登録を確実に実現することを求める要望書を文化庁の担当者に手渡した。
彦根城は、日本が世界遺産条約を締結した1992年に国内候補の「暫定リスト」に入った。彦根市と滋賀県はこれまでに4回、文化庁に推薦書案を出したが、国内推薦はいずれも見送られてきた。城郭では先に姫路城(姫路市)が世界遺産に登録されている。同じ価値を持つ「類似資産」は重複登録が認められず、姫路城との差別化がネックだった。
市や県が苦心の末に打ち出した戦略が「大名統治システム」のアピールだ。各地の大名が幕府を支える統治の仕組みが、徳川幕府250年の安定と平和の礎となり、その象徴が「彦根城」だと主張している。
事前評価制度で前進
2023年9月には、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」の助言を受ける「事前評価制度」を国内で初めて申請。世界遺産としての評価基準を「満たす可能性はある」とされた。
市と県は、他の城との比較や「大名」などの用語を海外の人向けに詳しく説明するなど、内容を充実させた5回目の推薦書案を5月に文化庁に提出した。
地元一丸の支援体制
彦根市議会は7月、超党派の全23議員で議連を設立。県議会も8月、彦根城の登録実現や県内の城郭の魅力を発信する「近江の城の価値を高める議員連盟」を設け、地元一丸で後押しする体制も整ってきた。
彦根市の田島一成市長は7月の記者会見で「文化庁からは9月末までには(結果が出る)と聞いている。そのスケジュールの中で、県と何ができるのか考えていきたい」と話した。三日月知事は今月19日の記者会見で「審査にかなう資料や情報をしっかりと作り、まずは国内推薦につなげられるよう、あと一歩取り組みを進めていきたい」と語った。



