ホルムズ海峡巡る地政学が「リセット」、地元専門家が語るイランの論理
ホルムズ海峡巡る地政学「リセット」、専門家が語るイランの論理

ホルムズ海峡の開放をめぐって、米国とイランが攻撃の応酬を繰り返している。協議は止まり、平和の実現は遠のきつつある。米国とイランが戦闘終結に向けた覚書を結んで17日で1カ月。イランが強気の姿勢を崩さない理由は何なのか。テヘランにある中東戦略研究センターのアッバス・アスラニ上級研究員に聞いた。

イランが設定する航路へのこだわり

イランはホルムズ海峡を通る船舶に対して、イランが設定した航路を選ぶように強く求めている。覚書を受けて、対岸のオマーンも自国寄りの航路を設定したが、ここを通ることは認められないのだろうか。

アスラニ氏は「イランの覚書の理解では、ホルムズ海峡の開放にあたって、船が通る航路を設定するのはイランです。覚書をイランが実行しようというときに、米国がオマーンに圧力をかけて、航路を変えようとしています。これは受け入れられません」と述べる。

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米国はホルムズ海峡の状況を戦闘前に戻そうとしている。しかし、イランは、イランが通航を管理するという新しい状況を維持したい。これをあきらめれば、米国が将来また攻撃するかもしれない。

決断させたのは米国とイスラエル

イランにとってホルムズ海峡の管理権は、安全保障上の死活問題だ。アスラニ氏は「米国とイスラエルが攻撃を決断したことで、イランは自国の領海と航行の安全を守るために強硬姿勢を取らざるを得なくなった」と指摘する。

イラン北東部マシュハドでは2026年7月9日、米国のトランプ大統領、イスラエルのネタニヤフ首相に反発する横断幕の下に立つ女性の姿が見られた。人々は前最高指導者のアリ・ハメネイ師の埋葬のために集まった。

和平への道筋は見えず

覚書から1カ月が経過したが、協議は停滞している。米国は戦闘前の状態への回帰を求める一方、イランは新たな管理体制の維持を主張する。双方の立場の隔たりは大きく、平和の実現は遠のいている。

アスラニ氏は「イランが航路管理権を手放せば、米国が再び攻撃する可能性がある。イランは過去の経験から、譲歩がさらなる攻撃を招くことを学んでいる」と語る。

ホルムズ海峡をめぐる地政学は、今まさに「リセット」されようとしている。イランの強気の背景には、自国の安全を確保しようとする論理が働いている。

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