豪州がトリウム再利用に本格始動
レアアース大国・オーストラリアが、原子力分野で新たな動きを見せている。同国はトリウムの再利用に向けた取り組みを加速させており、溶融塩炉技術の開発で先行する中、日本だけが取り残される危険性が指摘されている。この記事では、オーストラリアのトリウム戦略と、日本が直面する課題を詳しく解説する。
ラッド元首相の先見性と核軍縮への貢献
2007年、当時のラッド首相は核軍縮と核不拡散の国際委員会設立を提唱した。2010年10月1日には、日本の川口順子元外相とオーストラリアのエバンズ元外相が共同議長となり、筆者宛に親書が送られた。オーストラリアも日本と同様、米国の核の傘に守られているため、核兵器廃絶を軽々に口にできる立場ではない。しかし、その後米国がオバマ政権に変わり「核なき世界」を訴えたことを振り返ると、ラッド首相の勇気と先見の明に敬服する。
研究機関と学術界の取り組み
オーストラリアにはFuture Direction Internationalという財団があり、マイケル・ジェフリー氏が所属している。同財団はトリウムの利用可能性について検討し、レポートを発表している。また、シドニー大学のレザ・ハシェミ・ネザド教授など、トリウム原子力に熱心に取り組む研究者も存在する。2007年にオーストラリアで発売された科学雑誌『COSMOS』8月号では、大規模なトリウム特集が組まれた。
ライナス社の施設とトリウム資源
マレーシア東部・ゲベンにある豪鉱業会社ライナスの施設は、レアアース精製の過程でトリウムを副産物として産出する。ライナスは世界最大級のレアアース生産企業であり、その過程で生じるトリウムの有効活用が注目されている。トリウムは溶融塩炉の燃料として利用可能で、放射性廃棄物の低減や核拡散抵抗性の向上が期待される。
日本が取り残される現実
日本では、福島第一原発事故以降、原子力政策が停滞している。トリウム溶融塩炉の研究開発も遅れており、国際的な動きから取り残される懸念がある。一方、オーストラリアはレアアース資源とトリウム再利用の両面で戦略的に動いており、日本は技術協力や政策面での連携を急ぐ必要がある。



