世界に類を見ない「生きた博物館」 福井県立恐竜博物館の秘密 副館長・寺田和雄氏
世界に類を見ない「生きた博物館」 福井県立恐竜博物館の秘密

福井県勝山市の郊外にある福井県立恐竜博物館は、アクセスが良いとは言えない。なぜなら、実際の化石発掘場所の近くに建てられたからだ。それでも年間約130万人が訪れ、今や世界三大恐竜博物館の一つに数えられるまでになった。その魅力を、副館長の寺田和雄氏は「生きている博物館」と表現する。

「生きている」とはどういうことか

ティラノサウルスやブラキオサウルス、福井県で見つかったフクイサウルスなど51体の恐竜全身骨格標本の展示(うち10体は実物の化石を使用)や、研究員の仕事をリアルに体験するプログラムなど、世界に誇れる点はいくつもある。しかし、特に自慢したいのは、この博物館が「生きている」ということだと寺田氏は言う。

博物館には内外から多くの関係者が視察に訪れる。彼らは決まって「なぜ、こんなにたくさんの来場者を集めることができたのか」「どうやったらウチの博物館も」と質問する。そんな質問に対し、寺田氏は「ここが『生きている博物館』だからですよ」と答えるという。

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化石発掘体験と「研究者の一人」という意識

恐竜博物館では、子供たちも参加できる化石の発掘体験を実施している。実際の発掘場所で土を掘り、ハンマーでたたいて化石を見つける体験だ。恐竜の化石とは限らないが、かなりの確率で化石が発見できる。見つけた子供は大喜びだ。

植物や貝などの化石なら1つだけ持ち帰ることができるが、脊椎動物の化石は認められていない。「えー、ダメなの?」と残念がる参加者もいるが、ここで大事なことは、参加者には「お客さん」ではなく「研究者の一人」という意識を持ってもらうことだと寺田氏は強調する。

発掘で出たものは「研究」して「発表」し、「展示」する。これが一つの流れとして、しっかりと「つながっている(生きている)」。来館者が化石を研究する体験もある。つまり、「企画展をやりました、何万人来ました」で終わりではない。これは世界を含めて他の博物館ではなかなか真似ができないことだ。

「全員参加」型の博物館

もう一つの自慢は「全員参加」型であることだ。博物館の研究員は現在16人いるが、恐竜を専門としているのは5人だけ。ほかは、寺田氏(植物化石が専門)を含めて、哺乳類や貝の化石が専門だったり、地質の研究をやっていたりする。

しかし、いざ発掘作業が始まると「全員参加」で行う。発掘場所が近くにあることも大きいが、どんなに他の仕事が忙しくても、喜んで駆けつける。これが一番すごいところだと寺田氏は言う。

この原則は博物館ができる前(平成12年開館)から変わらない。みなが「同じ目標、目的」に向かって仕事をしているからできることだ。この点は、他の博物館が真似をしようとしてもなかなか難しい。どうしても自分の専門に偏りがちになり、他の研究に関わらないからだ。

同じ目標、目的とは

次世代を担う子供たちを含め、来館者に夢と感動を与えたい。そして科学の世界に関心を持ってほしい、ということだと寺田氏は語る。

寺田和雄氏は昭和42(1967)年、大阪府堺市出身。金沢大学理学部地学科卒。同大大学院、東北大大学院へ進む。博士(理学)。専門は、主に恐竜がいた中生代の植物化石、特に「木の化石」の研究。平成13年、福井県立恐竜博物館研究員、令和7年からは同副館長として、研究や企画、イベントなどを統括する。福井県立大学恐竜学部客員教授。現在、博物館では特別展「竜脚類~大地を揺るがした地上最大の生き物~」を開催中(11月3日まで)。

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