「若い皆さんはオルカン一択ですよ」――この言葉に疑念を抱く証券ジャーナリストがいる。前田昌孝氏は、著書『あぶないオルカン』の中で、長期投資を考える際に必要な「資産分散だけではないリスク分散」のあり方を提示。家計の資産分散を検討するための10の切り口を紹介する。
「若い人はオルカン一択」への疑念
若いうちはリスクを取ってもいいという考え方がある。2023年9月5日、金融を学びたい若手女性の集まり「きんゆう女子。」が金融庁の担当者を招いた講演会で、担当者が2024年から刷新されるNISAでは「つみたて投資枠」も「成長投資枠」もすべて全世界株式に連動する低コストのインデックス投信に振り向けるのがベストだと説明した。多くの参加者が頭に浮かべたのは「オルカン」(全世界株式インデックス投信)だ。前田氏は「当局者のこの発言は問題」と指摘する。NISAは非課税対象が個別株や投信に限られており、英国のISA(個人貯蓄口座)のように預金を含む幅広い金融商品を対象としていないからだ。
「リスク商品の割合」をどう考えるか
一般に、家計ポートフォリオのうちリスク商品に振り向ける割合の目安として「100マイナス年齢」が知られている。しかし前田氏は「若い人の家計ポートフォリオを考えるときに、オルカンへの集中投資は偏りすぎ」と警鐘を鳴らす。資産分散には、単に複数の銘柄に投資するだけでなく、資産クラスや地域、時間、さらには取引金融機関の分散も含まれる。
許容できる範囲をよく考えて
投資家は自身のリスク許容度を冷静に見極める必要がある。前田氏は「顧客の利益は二の次」とする証券会社の存在も指摘。金融機関の選定もリスク分散の一環だと述べる。
取引金融機関の分散も「リスク分散」の一手
複数の証券会社や銀行に口座を分散することで、万一の際のリスクを低減できる。前田氏は、資産分散を考える際に押さえるべき10の切り口として、リスク商品の割合、許容できる損失範囲、金融機関の分散などを挙げている。



