トヨタ自動車とNTTは、自動運転技術の核心となる人工知能(AI)基盤の共同開発で基本合意した。両社は2025年から実証実験を開始し、2030年までの実用化を目指す。投資総額は5000億円規模に上る見通しだ。
交通事故ゼロを目指す協業
今回の協業は、交通事故の削減を目的としている。NTTが持つ光通信技術とAI処理技術を、トヨタの車両制御システムに統合することで、高度な判断能力を持つ自動運転システムの実現を図る。両社は「交通事故ゼロ社会」の実現に貢献したいとしている。
具体的には、NTTが開発中の「IOWN(アイオン)」構想を活用。光電融合技術により、車両間やインフラとの通信を極めて低遅延で実現し、AIによるリアルタイムな状況判断を可能にする。トヨタはこれまで培ってきた自動運転技術「Guardian」と「Chauffeur」に、このAI基盤を組み込む方針だ。
投資規模とスケジュール
両社は今後5年間で、AI基盤の研究開発に約5000億円を投じる計画。このうち、NTTは通信インフラとAI処理技術の開発に約3000億円、トヨタは車両搭載システムと実証実験に約2000億円を割り当てる。2025年には、限定エリアでの自動運転タクシーの実証実験を開始し、2028年までに高速道路での自動運転レベル4の実現を目指す。
NTTの島田明社長は「通信とAIの融合で、モビリティの未来を変革する」とコメント。トヨタの佐藤恒治社長は「自動運転の社会実装を加速するため、NTTの技術力を活用する」と述べている。
業界への影響
自動運転技術を巡っては、米グーグル傘下のウェイモや中国の百度(バイドゥ)などが先行する。トヨタとNTTの協業は、日本勢が巻き返しを図る重要な布石とみられる。特に、NTTの光通信技術は、通信遅延が課題となる自動運転において競争力を持つと評価されている。
市場関係者は「両社の強みを組み合わせることで、他社との差別化が可能になる」と指摘。自動運転AI市場は2030年に約2兆円規模に成長すると予測されており、今回の協業が市場の主導権争いに与える影響は大きい。



