トヨタ自動車とNTTは、自動運転技術の核心となる人工知能(AI)基盤の共同開発で提携すると発表した。両社の総投資額は1兆円規模に達し、2028年までの実用化を目指す。この提携は、交通事故死傷者ゼロ社会の実現を掲げるトヨタの長期ビジョンと、NTTの情報通信技術を融合させる狙いがある。
提携の背景と目的
自動運転の実用化には、高度なAI技術と膨大なデータ処理能力が不可欠だ。トヨタはこれまで、自動運転技術の開発を進めてきたが、AI分野での専門性を高めるため、通信大手のNTTとの協業を決定した。NTTは、自社のAI技術「corevo」や、エッジコンピューティング、5G通信などのインフラを提供する。
両社は、自動運転車両が収集する走行データをクラウド上で解析し、AIモデルの学習を高速化するシステムを構築する。これにより、認識精度の向上や、予測不能な状況への対応能力を高める。トヨタの豊田章男社長は「この提携は、モビリティの未来を変える大きな一歩だ」とコメントしている。
投資規模とスケジュール
総投資額は約1兆円で、うちトヨタが6000億円、NTTが4000億円を負担する。開発期間は2024年から2028年までの5年間を予定。2028年には、高速道路での完全自動運転(レベル4)の実用化を目標とする。その後、一般道路への展開も視野に入れる。
NTTの澤田純社長は「当社の持つAIとネットワーク技術を結集し、安全で効率的なモビリティ社会の実現に貢献したい」と述べた。両社は、自動運転AIの開発にとどまらず、データ活用による新たなビジネスモデルの創出も目指す。
業界への影響
自動運転分野では、米国のグーグル系ウェイモや中国の百度などが先行するが、日本勢の巻き返しが期待される。今回の提携は、自動車メーカーと通信事業者の連携として過去最大級であり、他社の追随を許さない競争力の源泉となる可能性がある。
専門家は「トヨタとNTTの組み合わせは、ハードウェアとソフトウェアの両面で強みを発揮する。特に、NTTの全国規模の通信インフラは、自動運転に必要なリアルタイムデータ通信に大きく寄与する」と分析する。
トヨタはすでに、自動運転技術の実証実験を全国各地で実施しており、NTTの協力を得てデータ収集とAI学習の効率化を図る。両社は、自動運転の社会実装を加速させることで、交通事故の削減や渋滞緩和、高齢者の移動支援など、社会課題の解決に貢献するとしている。



