大学発スタートアップにとって、CEOやCFOなどの経営人材の確保は大きな課題の一つだ。適切な資金調達と資本政策をリードできる優秀なCFOを迎えるには、それなりの報酬を用意しなければならず、資金が必要となる。しかし、その資金を得るためにはまずCFOが必要という「鶏と卵のジレンマ(デッドロック状態)」に陥り、人材確保が難しい状況がある。
「外出し組織」と「共通ライブラリ化」による人材確保
このジレンマを突破するには、大学側が外部のリソースを巻き込んだ環境を整えるため、外部ファンクション(部門)を「仕組み」として提供する、すなわち大学の支援機能の「外出し」が有効なアイデアとなる。
例えば九州大学では、英国オックスフォード大学の先進モデルを参考に、経営支援を専門に行う子会社「九大OIP」を設立した。大学組織の枠外に専門部隊を設けることで、民間のスピード感に合わせた柔軟な支援が可能となる。海外でも、米国の名門私立大学・スタンフォード大学発の「StartX」や、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)発の「SkyDeck」といった独立した起業家支援団体が、強力な外部ファンクションとして人材や資金のエコシステムを支えている。
事業成長を阻む3つの共通要因
地方大学発のスタートアップの現状から、事業成長を阻む共通要因として、以下の3点が考察される。第一に、経営人材の確保が難しいこと。第二に、資金調達とCFO採用のデッドロック状態。第三に、大学の支援機能が内部に限られ、外部のリソースを活用しきれていないことだ。
これらの要因に対し、大学側が外部ファンクションを積極的に取り入れる動きが広がりつつある。九大OIPのような子会社設立や、StartXやSkyDeckのような独立支援団体のモデルは、今後の大学発スタートアップの成長を後押しする可能性がある。



