サッカー日本代表が2026年6月14日のワールドカップ初戦で、強豪オランダを相手に2-2の引き分けに持ち込んだ。この試合は単なる「惜しい引き分け」ではない。心理学で「レジリエンス(回復力)」と呼ばれる、ミスや逆境から立ち直る力の好例が詰まっている。作新学院大学経営学部教授でプロメンタルコーチの笠原彰氏は、「心の立て直しは『根性』ではなく『技術』。その入り口は呼吸だ」と指摘する。
2度のビハインドを追いついた回復力の秘密
試合は後半50分、相手エースのファンダイク選手にヘディングで先制点を許した。しかし日本代表は57分、中村敬斗選手が得意のカットインシュートで同点に追いつく。その後再びリードを許すも、88分には鎌田大地選手が同点ゴールを決め、2度のビハインドを2度とも追いついた。前半からゴールキーパーの鈴木彩艶選手がビッグセーブを連発したのも見どころだった。
この試合には、サッカー日本代表以外の人々にも活用できる「折れない心の作り方」が凝縮されている。失点した瞬間、心と体には何が起きているのか。なぜ「気合」だけでは立て直せないのか。そして「赤信号」の状態から「青信号」の状態へ戻す具体的な方法を、笠原氏が解説する。
「うまくいかなかった直後」が心の正念場
スポーツ、ピアノ、勉強、仕事――一番心が折れそうになるのは「うまくいかなかった直後」だ。サッカーなら失点した瞬間、テストなら最初の問題でつまずいた瞬間、ピアノやバイオリンの発表会なら一音ミスした瞬間。ここで「もうダメだ」と気持ちが沈むか、「次、次」と立て直せるかが、最後の結果を大きく変える。
笠原氏は、「立ち直る力は学んで身につけられるスキル」と強調する。「気合」で心を切り替えることは難しく、むしろ呼吸を整えるなど具体的な技術が必要だという。
「赤信号」から「青信号」へ戻す3つのステップ
笠原氏は、心の立て直しを「根性」ではなく「技術」と捉える。具体的には、まず呼吸を整え、次に思考をリセットし、最後に行動に移すという3つのステップを提案する。この「10秒メンタルリセット法」は、短時間で心の状態を切り替えるのに効果的だ。
同点ゴールに学ぶ「自己効力感」の育て方や、大舞台で力が出る「最適な覚醒状態」についても、笠原氏は実践的なアドバイスを提供している。日本代表が示したように、ミスをしてもすぐに立ち直れる強い心は、誰でもトレーニングで獲得できるのだ。



