消費減税「2年限定」施策の終了後に待つ最悪の展開とは?中間層の剥奪感が生む逆効果
消費減税2年限定の終了後、中間層に剥奪感が拡大?

政府が検討する消費減税を「2年に限定」とした施策に対し、中間層の相対的剥奪感や社会的連帯の喪失を懸念する声が上がっている。評論家の真鍋厚氏は、特定の階層に絞った選別的な給付がもたらす逆効果を指摘する。

給付対象の線引きが生む緊張

政府の議論では、主として現役世代で社会保険料などの負担が重い「中低所得の勤労世代」に手取りを増やすことが目指されており、年収540万円程度が一つの目安として検討されている。「子育て世帯の負担にも配慮」とされ、子どもの数に応じた加算も見込まれている。

単純な損得勘定では、所得が低い層や非課税世帯が「得」をし、高所得層が「損」をする構造だ。子育て世帯や扶養家族が多い世帯は、控除しきれない金額が給付金として手元に入るため有利になる。つまり、上の層が負担した税金が下の層への給付に回る。

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しかし、対象外となる「高所得層」に当たる「一定の所得以上の中間層」には、「自分たちだけが損をしている」という相対的剥奪感が生まれることが否定できない。真鍋氏は「中低所得層とそれ以外という境界線が、これまでにない緊張と対立を作り出してしまう」と指摘する。

選別主義がもたらす「再分配のパラドックス」

福祉や給付の対象を特定の階層に絞る「選別主義(ターゲット型)」の政策は一見効率的だが、年収540万円で区切れば、網の目から漏れる中間層の剥奪感が亢進し、社会的連帯感が失われるリスクが増大する。労働意欲の減退も懸念される。

社会学者のヴァルター・コルピとヨアキム・パルメは、低所得者にターゲットを絞った選別的な給付がもたらす「逆効果」を論証し、「再分配のパラドックス」と名付けた(American Sociological Review)。低所得層へ給付を集中させる政策は、税金を負担する中間層に「負担ばかりで恩恵がない」という不公平感を植え付け、長期的には福祉予算全体の縮小につながり、普遍主義よりも貧困削減効果が小さくなるという。

経済学者の井手英策氏らは、同じく「救済型の再分配」に警鐘を鳴らし、「再分配の罠」と呼ぶ。日本が採用してきた「勤労国家レジーム」においては、限定性・選別性が「既得権をもつ者への嫉妬やねたみの原因となる」と述べている(井手英策/古市将人/宮﨑雅人『分断社会を終わらせる 「だれもが受益者」という財政戦略』筑摩書房)。

現行では、減税措置を待たずに2027年秋頃から中低所得者や非課税世帯を対象とした給付措置から開始する案が軸となっているが、その際に具体的に示される「限定性・選別性」が反感を買う可能性がある。物価高が止まらず実質的な所得減が進む社会経済状況においては、なおさらだろう。

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