黒田日銀の内幕:マイナス金利導入、5対4の一票差で決定
黒田日銀の内幕:マイナス金利導入、5対4の一票差

日本銀行が2016年1月から6月までの金融政策決定会合の全議事録を15日に公表した。この中で、2016年1月の決定会合で導入された「マイナス金利政策」が、5対4の僅差で決定されていたことが明らかになった。黒田東彦総裁(当時)が推進した大規模緩和を支持してきた審議委員までもが反対に回り、執行部との意見対立が表面化した。

コーヒー休憩後の突然の提案

2016年1月29日朝、日銀本店での決定会合。10分間のコーヒー休憩を挟んで再開すると、黒田総裁が事務方に資料の説明を求めた。資料を配布した内田真一企画局長(当時、現副総裁)は、「マイナス金利の要素を付加した新たな枠組みを作ることも、オプションになり得る」と述べ、金融機関が日銀に預けるお金の一部にマイナス金利を適用する案を初めて提示した。

これまで黒田総裁はマイナス金利導入を繰り返し否定してきたが、この会合で執行部が突然、導入を提案した形となった。背景には、2013年から開始した大規模緩和で「2%の物価目標を2年程度で達成」するとした目標が、3度目の先送りを余儀なくされたことがある。当時、原油安などで物価上昇率は0%台に低迷しており、追加緩和の必要性が高まっていた。

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審議委員の反発と「決別」発言

議事録によると、大規模緩和を支えてきた複数の審議委員が反対に回った。ある審議委員は、執行部の提案を「これまでの政策の否定だ」と批判。別の審議委員は「私はこれまで総裁を支持してきたが、今回ばかりは同意できない」と述べ、執行部との「決別」を示唆する発言があったとされる。

反対派の委員は、マイナス金利が金融機関の収益を圧迫し、経済に悪影響を及ぼすと懸念。また、導入のタイミングや手法についても異論が相次いだ。最終的に、黒田総裁を含む執行部側の賛成5票に対し、反対4票という僅差で政策が可決された。

異例の政策決定の背景

マイナス金利導入は、日銀がデフレ脱却に向けて打ち出した最後の切り札だった。しかし、議事録は、決定過程で内部の深刻な分裂が生じていたことを浮き彫りにした。専門家は「この決定が、後に日銀の政策運営に長く影を落とすことになる」と指摘する。

日銀は今回、2016年1月から6月までの全議事録を公開。これにより、マイナス金利導入の舞台裏が詳細に明らかになった。黒田前総裁は後に、この政策について「必要な措置だった」と振り返っている。

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