スバル、工場改修と新設で年間100万台規模へ 混流生産とブリッジ生産で柔軟な生産体制を実現
スバル、工場改修と新設で年間100万台規模へ 混流生産とブリッジ生産

スバルは、工場の改修と新設を通じて年間100万台規模の生産体制を目指している。同社の常務執行役員CMzO(最高モノづくり責任者)モノづくり革新センター長兼技術本部副本部長の渡邊郁夫氏は「変化を恐れず、変化に対応して(それを)強みにしていく」と強調した。キーワードは「柔軟性」だ。

BEVの延期とICEへの注力

2023年8月にスバルは「新経営体制における方針」で、モノづくり革新と価値づくりによって世界最先端を狙うとし、BEV(バッテリーEV)に舵を切る方針を打ち出した。しかし、その後自動車産業界の環境は急変。主力市場であるアメリカではトランプ政権による環境規制の大幅な緩和の影響で、BEV市場の成長が鈍化している。

25年度実績でスバルのグローバル販売台数は89万6000台で、うち79%が北米(アメリカ64万1000台、カナダ6万7000台)と、アメリカ依存が顕著だ。このためBEV戦略の見直しが必須となり、26年3月期決算報告会で代表取締役社長の大崎篤氏は「自社開発BEV導入を延期し、開発リソースをICE(内燃機関)系商品のラインアップ拡充にシフトする」と事業転換を示した。

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トヨタ「bZ4X ツーリング」も混流生産

現在建設中の群馬製作所・大泉新工場(群馬県大泉町)は、当初BEV専用工場として計画されていたが、25年3月上期決算会見でハイブリッド車などを含む混流生産への転換が明らかになった。成長投資については、25年11月10日発表時の総額1.2兆円を26年3月期決算報告会でも維持すると説明。開発領域では自社開発BEVの導入延期により技術開発を継続しながら投資を縮小し、その分をハイブリッド車に活用する次世代内燃機関車の開発リソースに再分配する。

市場動向に柔軟に対応する「ブリッジ生産」

スバルは「究極の混流」と「ブリッジ生産」を組み合わせることで、市場動向に柔軟に対応する生産体制を構築する。混流生産では、同じラインでBEV、HV、ICE車を混在させて生産し、需要変動に応じて生産比率を調整できる。ブリッジ生産は、異なる工場間で部品やモジュールを融通し合う方式で、生産の冗長性を高める。

渡邊氏は「変化を恐れず、変化に対応して強みにする」と述べ、スバルのモノづくり革新の方向性を示した。同社は1960年創業の矢島工場など既存施設の改修も進め、生産能力を段階的に引き上げる計画だ。

スバルの未来が見えてきた

スバルは、BEV一辺倒ではなく、ICEやHVも含めたマルチパワートレイン戦略で市場の不確実性に対応する。年間100万台規模の生産体制は、北米市場を中心とした需要取り込みと、コスト競争力の向上につながると期待される。渡邊氏は「柔軟性こそがスバルの強み」と語り、今後のモノづくり革新への意欲を示した。

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