スバルは、国内工場の改修と大泉新工場の建設により、年間100万台規模の生産体制を目指している。その中核をなすのが、トヨタとの協業で磨かれた「究極の混流」と、国内外の工場を連携させる「ブリッジ生産」だ。
異なる車両構造を吸収する可動式ライン
混流生産の最大の課題は、異なる車両構造への対応だ。トヨタとスバルでは車体基準や工程順序に違いがある。例えば、トヨタは電動パワーユニットにショックアブソーバーとコイルスプリングを一体化して車体に一括搭載するが、スバルは別工程だった。
この課題に対し、スバルは車体基準の位置を柔軟に変更できる可動式ラインを採用。工程順序については、スバルがトヨタの方式に追従する形をとった。これにより、異なる車種を同一ラインで効率的に生産することが可能となった。
物流の合理化と「究極の混流」
2つ目の課題は、部品数やサプライヤーの増加に伴う部品輸送の合理化だ。トヨタのサプライヤーは中京地域、スバルは北関東に多く分布する。そこで、それぞれの地域に集約倉庫を設定し、長距離混載輸送を実現した。
これらの生産技術、設計、物流の総合的な最適化を、スバルは「究極の混流」と称している。
ブリッジ生産で市場変動に柔軟対応
さらに、混流ラインと「ブリッジ生産」を組み合わせることで、市場動向への柔軟な対応を可能にしている。ブリッジ生産とは、国内の本工場、矢島工場、建設中の大泉新工場、そして米国のSIA(スバル オブ インディアナ オートモーティブ)の生産を連携させる仕組みだ。
各工場の生産能力は操業条件により変動するが、本工場1本、矢島工場2本、SIA 2本の合計5つの製造ラインで、それぞれ年間約20万台が目安(渡邊常務執行役員)とされ、合計で100万台規模となる。
「市場の需要動向を見ながら、それぞれの工場の操業を一定レベルで修正し、できるだけフルキャパシティで使える生産計画を常に意識している」と渡邊常務執行役員は説明する。
大泉新工場の位置づけ
建設中の大泉新工場も20万台レベルの生産能力を見込むが、既存工場の一部設備は稼働から40年以上が経過しているため、大泉新工場は単純な生産能力の積み増しにはならないと指摘する。既存設備の代替としての役割も担うためだ。
スバルは「トリプルハーフ」を適える「太くて短い製造ライン」をコンセプトに、効率的で柔軟な生産体制を追求している。これにより、多様化する市場ニーズに迅速に対応し、競争力を高める狙いだ。



