カゴメ社長が語る健康戦略と国際事業拡大 トマトジュース出荷量過去最高
カゴメ社長が語る健康戦略と国際事業拡大

カゴメの奥谷晴信社長(58)は、消費者の好みが多様化する中で、健康と味へのこだわりを続ける方針を明らかにした。2025年12月期の売上収益のうち、国際事業が全体の半分近くを占めるまでに成長。特に米国では、トマト加工会社インゴマーを2024年1月に連結子会社化し、現地の飲食店向けにピザソースやトマトペーストを製造・販売している。

海外市場の開拓と国産調達網の整備

米国以外でも、インドを含む新興国のフードサービス市場に注目している。欧米型のピザチェーンや現地のレストランチェーンが業務用ソース市場を拡大しているためだ。欧州では2026年1月、トマト加工品を扱う英国の食品卸売会社シルベリーを買収。ドイツやフランスには開拓の余地があるという。

国内で扱うトマト原材料の9割以上は輸入に依存しているが、国産調達網の整備も重要視。北海道に新工場を建設し、2028年の稼働を予定している。気候変動の影響で北海道でのトマト生産が盛んになっていることに対応する。

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健康志向への対応と主力商品の好調

国内市場では健康志向が高まっており、差別化の軸として「健康」を訴求。主力のトマトジュースは2025年の出荷量が前年比約16%増となり、4年連続で過去最高を更新した。美容目的で飲む人も多く、箱買いして毎日飲む消費者も増えている。

また、野菜果実ミックスジュース「野菜生活100」は、野菜の含有量を従来の半分から88%に増やし、飲みやすい野菜ジュースとして改良。長年の商品開発で培った配合技術を活用している。

トマトや野菜のイメージが強いカゴメだが、健康価値とおいしさにこだわった商品にも注力。植物性たんぱく質が豊富で低カロリーのアーモンドミルクが代表例だ。

世界的なオレンジ供給不足でオレンジジュースが高騰したことを受け、オレンジを全く使わずにニンジン、パイン、マンゴーなどをブレンドした代替ジュースも開発。オレンジのような味わいを実現した。

ウェルビーイング事業部の設立と社会課題への取り組み

2025年10月には「ウェルビーイング事業部」を新設。地球環境に優しく、社会が健全で、心身が満たされた状態を目指す。農業体験の提供や、野菜摂取量を測定する機器「ベジチェック」の貸し出しによる健康経営支援を強化。今後は自治体や学校も巻き込み、社会課題を新たな事業に結びつけることが課題だとしている。

食品メーカーとして国際情勢の不透明さに対応する必要もある。例えば、ナフサ原料のインク供給不安を受け、2026年5月にはトマトケチャップのパッケージでトマトの図柄を減らし一部を透明に変更。安定供給を最優先にしている。

奥谷社長は1968年生まれ。1990年に静岡大学工学部を卒業後、カゴメに入社。調達部門、経営企画室長、米国成長戦略プロジェクト室長などを経て、2026年1月に社長就任。約3年半、イタリアの子会社で冷凍グリル野菜の製造・販売に出向した経験もある。岐阜県土岐市出身。

カゴメは1899年創業の食品・飲料加工大手。西洋野菜・トマトの栽培に挑戦したのが始まり。2025年のトマトジュース国内シェアは65.7%、トマトケチャップは55.8%。本社は名古屋市。

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