「われわれは真にグローバルなプレゼンスを持つ日本のチャンピオンだ」――5月15日、ARCHION(アーチオン)のカール・デッペンCEOは中期経営計画の記者会見で、こう力を込めた。
アーチオンは、日野自動車(日野)と三菱ふそうトラック・バス(ふそう)が経営統合して設立された持ち株会社だ。当初は2024年中の統合を目指していたが、日野のエンジン認証不正への対応などで交渉が長期化。最終的に、持ち株会社を設立し、事業会社として日野とふそうがそれぞれ存続する形となった。アーチオンは今年4月に上場し、新たな船出を迎えた。
中期経営計画の目標
中期経営計画で示された目標数値は、2032年度までに売上収益約2.8兆円、営業利益率10%超え、グローバル新車販売台数約28万台(2025年度比約3割増)を目指すというものだ。国内では販売台数を回復させ、市場シェアを50%以上(現在日野とふそう合算で約42%)に引き上げることを目標とする。東南アジア市場でも、新車販売台数を約3割増やす方針だ。
強調されたのは「統合プラットフォーム戦略」だ。2032年度までに世界販売台数の85%以上を統合プラットフォーム上で生産する計画。パワートレインやシャシー、エレクトロニクスなどの部品を両事業会社で共同調達することで、材料費の低減を図る。また、国内に6つあった生産拠点を3工場に集約する予定だ。
正常な経営状態への回帰
アーチオンが前向きな経営目標を掲げられたのは、今春の船出を「正常な経営状態」で迎えられたためだ。日野単独の最後の決算となった2025年度決算では、長らく日野を悩ませてきたエンジン認証問題の重荷から解放されたことがうかがえる。同問題が発覚した2021年度以降初めて、営業利益と純利益のいずれも黒字となった。
国内認証不正対応について、日野の2025年度決算で計上された額は約41.8億円。ピークだった2022年度の907.9億円から大幅に減少した。この問題で続いていた国内小型トラックの出荷遅れも、2026年度以降は基本的に解消されるとデッペンCEOは説明する。
競合に後れを取る統合戦略
しかし、中計の目標数値を達成するための明確な道筋が示されたとは言いがたい。競合のいすゞ自動車はすでに独自の電動化戦略を推進しており、中国のEVメーカーも低価格を武器に市場攻勢を強めている。アーチオンが統合効果を発揮する前に、市場環境はさらに厳しさを増す可能性がある。
アーチオンは、日野とふそうのブランドを維持しつつ、統合によるスケールメリットを追求する戦略だ。しかし、統合プロセスが長期化したことで、競合に先行を許した感は否めない。今後の焦点は、統合プラットフォーム戦略をいかに迅速に実行し、コスト競争力を高めるかにある。
デッペンCEOは「われわれは真にグローバルなプレゼンスを持つ日本のチャンピオンだ」と語ったが、その言葉を現実のものとするには、乗り越えるべき課題は少なくない。



