電気自動車(EV)シフトが世界的に加速する中、中国ではガソリン車の技術革新が静かに、しかし確実に進んでいる。従来のイメージを覆し、中国メーカーは熱効率50%を超えるエンジンや高度なハイブリッドシステムを開発。これにより、日本メーカーが長年誇ってきた内燃機関技術の優位性が揺らぎ始めている。
中国のエンジン技術が世界最高水準に
中国の自動車メーカー、比亜迪(BYD)は2021年に熱効率43%のエンジンを搭載したプラグインハイブリッド車を発売。その後、吉利汽車(ジーリー)や長安汽車(チャンアン)も熱効率45%超のエンジンを相次いで発表した。さらに、2023年には中国のエンジンメーカーである濰柴動力(ウェイチャイ・パワー)が熱効率50.23%のディーゼルエンジンを開発したと発表。これはトヨタの熱効率41%を上回る数値であり、世界最高水準とされる。
ハイブリッド技術でも存在感
中国メーカーはハイブリッドシステムでも進化を見せている。BYDの「DM-i」システムは、エンジンを発電専用とし、モーターで駆動するシリーズ方式を採用。これにより、燃費はリッターあたり50kmを超え、トヨタのハイブリッドシステムと同等以上の性能を実現している。また、広州汽車(GAC)は2リッターエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを開発。システム全体の熱効率は44%に達するという。
日本メーカーへの影響
中国のガソリン車技術の進化は、日本メーカーにとって深刻な脅威だ。日本は長年、エンジンやハイブリッド技術で世界をリードしてきたが、中国メーカーが急速に追い上げている。特に、日本メーカーがEVシフトに注力するあまり、ガソリン車技術の開発を軽視している間に、中国メーカーが内燃機関技術で逆転する可能性がある。自動車業界アナリストの山田氏は「中国メーカーはEVだけでなく、ガソリン車でも競争力をつけている。日本メーカーは技術開発のバランスを見直す必要がある」と指摘する。
中国市場での日本車シェア低下
中国市場における日本車のシェアは低下傾向にある。2022年の中国乗用車販売台数で、日本メーカーのシェアは約20%で、前年から2ポイント低下。一方、中国メーカーのシェアは約47%と過去最高を記録した。特に、BYDは2022年に約180万台を販売し、日本メーカーを大きく引き離している。中国メーカーのガソリン車技術の向上が、日本車の競争力低下に拍車をかけている。
今後の展望
中国のガソリン車技術革新は、EVシフトの陰で進む静かな革命と言える。日本メーカーは、EV開発に注力する一方で、内燃機関技術のさらなる進化も求められる。また、中国市場でのシェア回復には、ガソリン車とEVの両面での競争力強化が不可欠だ。自動車業界の勢力図が塗り替わる可能性もあり、日本メーカーの戦略が問われている。



