10月の酒税法改正を控え、ビール類の税率が一本化される。減税となるビールと増税となる第3のビールや発泡酒の価格差が縮まることで、「ビール回帰」の流れが加速している。小売り大手各社はプライベートブランド(PB)のビールを新たに投入し、低価格を武器に市場を狙う。
カインズ、PBビール「黄金ラガービール」を138円で発売
ホームセンター大手のカインズは4月、PBビール「黄金ラガービール」(330ミリリットル)を税込み138円で発売した。同社は2010年から第3のビール「黄金」シリーズを展開してきたが、税率一本化を「ビールをより気軽に楽しめる時代への入り口」と捉え、初めて本格的なビール商品を投入した。
海外のビールメーカーのベトナム工場に生産を委託し、同国に持つ自社の物流網を活用してコストを削減。大手の主力ブランドが税込み200円前後(350ミリリットル)であるのに対し、低価格を実現した。味わいはクセがなく、幅広い層が飲みやすい仕上がりで、発売から1か月で販売本数が30万本を突破した。
ドンキもPBビール値下げ検討、164円で発売中
「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスも、酒税改正に合わせてPBビールの値下げを検討している。2025年6月に発売した「情熱価格 本格ラガービール」(330ミリリットル)は、苦みを抑えた飲みやすい味わいが特徴で、デザインを白黒で簡素にするなどして1缶164円に抑えた。
ビール大手も新ブランド投入、競争激化
ビール大手もてこ入れを強化している。キリンビールは2024年に定番価格帯ビールで17年ぶりの新ブランド「晴れ風」を、2025年に希少種のホップを使った高価格帯の「グッドエール」を相次いで投入。アサヒビールは中価格帯の新ビール「アサヒゴールド」を4月に発売した。
ビール類は原料の麦芽使用比率によってビール、発泡酒、第3のビールに区分され、異なる税率が適用されてきた。2020年から段階的に見直され、10月の改正で350ミリリットルあたり54.25円に統一される。ビールは9.1円の減税、発泡酒や第3のビールは7.26円の増税となる。
税率差の縮小に伴い、ビール類市場のシェアは変化している。2020年にビールは41%と第3のビール(46%)を下回っていたが、2024年にはビールが55%に回復し、第3のビールは28%に低下した。
第3のビール需要も残る、キリンは「淡麗グリーンラベル」刷新
大和証券の五十嵐竣アナリストは「ビールのニーズがより細分化することが予想され、特徴ある商品展開や飲用シーンの提案も重要になる」と指摘する。一方、税率統一後も麦芽比率50%以上のビールと発泡酒や第3のビールの価格差は残り、製法の自由度や機能性を打ち出せる利点もあるため、第3のビールや発泡酒の需要も一定程度残るとみられる。
キリンは4月、糖質70%オフの発泡酒「淡麗グリーンラベル」を2年ぶりに刷新。雑味を抑えたすっきりとした味わいでてこ入れを図る。



