生成AIの普及により、電子機器に欠かせない微細な部品「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」の需要が急拡大している。AIサーバー1台には最大2万8000個ものMLCCが搭載され、その供給の大部分を日本の2社が握っている。
米粒より小さいが「電子産業のコメ」
MLCCは電気の流れを安定化・制御する部品で、サイズは米粒よりも小さい。スマートフォンから電気自動車(EV)まで幅広く使われ、香港英字紙のサウスチャイナ・モーニングポストは「電子産業のコメ」と評する。生成AIの急速な普及に伴い、世界各国でAIデータセンターの建設が進み、MLCCの需要が急増。この小さな部品が新たなボトルネックになりつつある。
スマホの約30倍、AIサーバー1台に2万8000個
サウスチャイナ・モーニングポストによると、AIサーバー1台に必要なMLCCは最大約2万8000個で、標準的なサーバーの約13倍、スマートフォン1台(800〜1000個)の約30倍に相当する。これは、AIサーバーのGPUが演算時に大量の電力を瞬時に消費し、電圧が急激に変動するため、その変動を吸収する「デカップリング」のために大量のMLCCが必要となるからだ。
GPUの世代交代に伴い、搭載数はさらに増加する。エヌビディアの前世代「GB200」では1枚のボードに6500個だったが、現行「GB300」を経て、今年後半登場予定の次世代「Rubin」では1万2000個と、2世代でほぼ倍増する見込みだ。AMDでも、次世代プラットフォーム「MI450」の検証段階で、従来使っていたアルミ電解コンデンサーとタンタルコンデンサーをすべてMLCCに置き換えた結果、特定仕様のMLCCが1440個から1万544個へ約7.3倍に増加した。
日本企業2社が世界の高性能品供給を寡占
MLCC市場全体では村田製作所が約4割で世界最大手、韓国サムスン電機が2割前後、太陽誘電は1割前後だが、AIサーバー向け高性能品に限れば、村田製作所と太陽誘電の2社が世界の大部分を供給している。ブルームバーグは「太陽誘電と村田製作所が、世界の高性能MLCC供給の大部分を占めている」と報じている。
太陽誘電の佐瀬克也社長は、ブルームバーグの取材で「今我々が目にしている量(需要)は、怖いくらいです」と述べ、「1社でもつまずけば、たちまち追いつかなくなりかねないほど、プレッシャーは極めて強い」と語った。
自動車分野でも需要拡大、需給逼迫続く
自動運転機能の搭載が進む自動車分野でも、高性能MLCCの需要は高い。村田製作所は、レベル2以上の自動運転機能を持つEVでは1台あたり1万個超のMLCCが使われると説明する。需給逼迫により、納期は従来の10週から24週に延びており、太陽誘電の佐瀬社長は「今年も来年も非常に逼迫する」と予測する。
韓国サムスン電機も高性能MLCC市場への参入を進めているが、日本企業は余裕を見せている。



