50代に入り、これまで当たり前にできていた動作が急にぎこちなくなる――そんな経験をした人は少なくない。多くの人はその原因を「加齢」や「筋力低下」に求めるが、フィットネストレーナーで鍼灸師の前田修平氏は、本当の原因は別にあると指摘する。前田氏によれば、問題は「週末だけのハードな運動」で運動不足を解消しようとするライフスタイルそのものにあるという。
週末運動では取り戻せない体力
前田氏は、50代の体が急に動かなくなる最大の要因として、日常的な運動不足と、それに対する「週末だけのハードな運動」という誤った対処法を挙げる。週末に集中的に運動しても、平日の長時間の座位や運動不足がもたらす体の衰えを打ち消すことは難しい。むしろ、急な負荷がケガのリスクを高める可能性もある。
夜のセルフケアで睡眠の質を高める
前田氏は、一日の終わりである夜に、お風呂と睡眠の質を高めるセルフケアを行うことを推奨する。湯船に浸かっている時間は、温熱と水圧の効果で血行が促進されるため、コリやだるさが気になるところを両手でもみほぐすとマッサージ効果がより高まるという。
布団に入って寝る準備が整ったら、あぐらをかくかラクな姿勢をとり、4秒かけて息を吸い、7秒間息を止め、最後に8秒かけて息を吐き出すという深い呼吸を数回繰り返す。この呼吸法が副交感神経を優位に導き、体と脳の緊張をほぐしてスムーズな入眠を促してくれると前田氏は説明する。
思考や習慣とともに、痛みや衰えを遠ざける
生活を変えようとするとき、新しい運動を始めなくては、と強く意識し、スケジュールに何かを足そうとする人が多い。しかし前田氏は、いままでやっていたことを整理整頓し、やめることのほうが先決だと指摘する。例えば、座る時間を減らすことだけで、体に与える好影響は非常に大きいという。
前田氏は著書『衰えないための健康しなやか筋トレ 50代から始める、動ける体のメンテナンス』(KADOKAWA)の中で、50年の積み重ねで錆びついた体を短期間でピカピカに改修できないのは事実だと認めつつも、「私ってこんなもんでしょ」と簡単にネガティブな自己評価を下さないでほしいと訴える。体が変わり、血液がめぐり始めると、私たちの内面や脳の捉え方まで前向きに変わっていくことがわかっているからだ。
完璧を目指さず、日常の60点を積み重ねる
前田氏は、自分の体は自分で整えられるという揺るぎない自信を持つことの重要性を強調する。何かに挑戦しようと思ったときに、即座に動ける自由な心と体を手に入れること。その自由さこそが、人生の後半戦をストレスなく、思いのままに生き抜くための最高の資産になると述べている。
完璧な100点を目指すよりも、いまの自分にしっくりくる日常の60点を淡々と積み重ねていく。そんな日々の小さな選択の積み重ねが、数年後のあなたを確実に変えてくれる。きっと、10年後の自分から「あのとき始めてくれてありがとう」と感謝されるはずだと前田氏は締めくくっている。



