定年後「家庭に居場所がない」男性の末路と50代からすべきこと
定年後「家庭に居場所がない」男性の末路と対策

定年後の人生の明暗を分ける「境界線」はどこにあるのか。医師で心理カウンセラーの野上徳子氏は、定年後に家庭で居場所を失い、孤独で惨めな老後を迎える男性が少なくないと指摘する。

退職後の心身の変化とその原因

定年後、起きる時間が遅くなり、外に出るのがおっくうになり、人と話す機会が減る。服装に気を使わなくなり、テレビの前で一日を過ごす。やがて表情や動作まで乏しくなっていく。これは単なる怠けではなく、人生の大部分を占めていた役割を失ったことによる心身の反応である。

退職と健康の関係については、退職によって仕事のストレスが減り健康になる人がいる一方、抑うつや身体活動の低下が起きる人もいることが報告されている。特に、仕事への心理的な依存が強く、会社以外の人間関係や趣味が少ない人ほど、退職後の空白を埋めにくくなる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

つまり、仕事ができた人ほど危険なのではない。「仕事をしている自分だけが価値のある自分だ」と思ってきた人ほど、定年後に心の支えを失いやすいのだ。

妻からの「濡れ落ち葉」扱いが引き金で発症する熟年うつの恐怖

定年後の男性を待ち受けるもう一つの問題は、家庭に戻ったつもりが、そこに自分の居場所がないという現実である。

現役時代、夫は家族のために一生懸命働いてきた。しかし、家事、地域との付き合い、子どもとの関係、日々の細かな予定は、ほとんど妻が担っていた。夫は家族を支えてきたつもりでも、家庭という現場では長年「不在の人」だったのだ。その夫が定年後、突然一日中家にいるようになる。

「昼ごはんは何?」「今日はどこへ行くんだ」「一緒に行こうか」――夫には悪気がなくても、妻にとっては、自分のペースで築いてきた生活に急に踏み込まれたように感じることがある。妻が外出すると寂しくなる。自分だけ置いていかれた気がする。妻の行動が気になり、何でも一緒にしたがる。

すると妻は夫を「濡れ落ち葉」のように感じ始める。夫はそんな妻の態度から、「自分は邪魔者なのではないか」と傷ついていく。そこから熟年期のうつが始まることがある。

社会的孤立の行く先は恐ろしい現実

社会的孤立は、うつだけでなく、認知症や生活習慣病のリスクを高めることが知られている。野上氏は、50代から準備を始めることで、こうした事態を回避できると強調する。具体的には、仕事以外の人間関係を築く、趣味を持つ、家事や地域活動に参加するなど、退職後の生活を見据えた行動が重要だという。

定年後の「居場所」を確保するためには、現役時代からバランスの取れた生活を心がけることが不可欠である。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ