退職金で住宅ローン完済は正解?FPが指摘する金利上昇時代の落とし穴
退職金で住宅ローン完済の落とし穴 FPが指摘

退職金を受け取った直後、銀行から電話がかかってくる――。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は、こうした現象が「個人情報保護法やファイアウォール規制に反する可能性がある」と指摘する。2024年のマイナス金利政策解除以降、預金や国債の金利が上昇し、株価も高騰。銀行は退職金の入金をきっかけに、年利2%程度の「退職金定期預金」を勧めるケースが増えている。しかし、高金利が適用されるのは3カ月程度の短期間で、その後は通常の定期預金金利に戻る。藤川氏はこれを「まき餌」と表現し、銀行の本命は高金利期間終了後に手数料の高い投資信託や保険へ誘導することだと警鐘を鳴らす。

退職金2100万円、住宅ローン残高1400万円のジレンマ

退職を1カ月後に控えた夫婦が、藤川氏に相談に訪れた。退職金の見込み額は約2100万円。住宅ローン残高は約1400万円で、当時の変動金利は約1.1%だった。夫は保守的で運用リスクを取りたくない一方、借金を抱えたまま定年を迎えることに不安を感じていた。「今後収入が下がるし、変動金利が上がるかもしれない」と完済に傾くが、退職金から1400万円を返済すれば手元に残るのは約700万円。本当にそれでいいのか、という迷いがあった。

「退職金定期預金」はまき餌、銀行の真の狙い

藤川氏は、退職金定期預金の多くが短期の高金利を餌に、顧客を高手数料商品へ誘導する仕組みだと解説する。「大きなお金を持ち慣れていない人が、まとまった資産を手にした直後に判断を迫られる構造が、後悔の温床になっている」と述べる。特に金利上昇局面では「運用しないと損をする」という空気が広がりやすいが、短絡的な判断は危険だと警告する。

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完済だけが答えではない、選択肢の検討を

住宅ローン完済か運用かの判断は、金利環境や個人の収入見通しによって異なる。藤川氏は「借金の不安から完済を急ぐ必要はない」とし、変動金利が上昇しても返済計画を見直す余地があると指摘。退職金の一部を運用に回すことで、手元資金を確保しつつ、インフレに備える選択肢も提示している。同記事は有料会員限定で続きが読める。

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