京都府精華町の警備会社「JUKO(ジュコウ)」は、若年世代の人材確保に向けて「本気の筋トレ採用」に取り組んでいる。社内にはトレーニングジムが設置され、社員は使い放題。プロテイン購入やボディービル大会出場の費用も支援する。今春には20代の男性社員が入社し、7月のボディービル大会で健闘するなど、独自の採用活動で成果を上げている。
筋トレ重視の福利厚生
今年4月に筋トレ採用第1号となった萩隆之介さん(24)は、業務の合間を縫って週6日ペースで筋トレに励む。学生時代はアメリカンフットボール部に在籍しながら「ガリガリの体がコンプレックスだった」(萩さん)という。令和2年から筋トレを始め、翌3年にはボディービルの大会に出場した。独学で筋トレに熱中したが、前職では仕事優先で残業も多く、トレーニングの時間が取れなかった。今年1月、家族から筋トレ採用を導入した企業の存在を聞き「最適な環境だ」と一念発起して転職に踏み切った。
JUKOが導入した筋トレ採用では、自社の倉庫を改装したトレーニング施設が使い放題。同社が提携するトレーニングジム「ディグラ」(同町)の会費を補助し、プロテイン購入費も月2000円分を支給する。さらに、ボディービルなどの大会出場のためのシフト調整や出場費をサポートするなど、独自の福利厚生を充実させている。
高齢化への対応
同社ではイベント警備や交通誘導などを手がけるが、約80人の社員のうち60歳以上が大半を占めるなど高齢化が進んでいる。創業者の奥野弘佳さんは「屈強な体格の若者が警備をすれば周囲に安心感を与えられるし、抑止効果も高い」と筋トレ採用を導入した理由を語る。同社が所在する精華町は人口約3万5000人。少子高齢化や若者の流出という深刻な問題に直面している。そんな中、奥野さんは「筋トレをしながら働きたいという需要はあるはず」と若者の人材確保に乗り出した。
萩さんは週5日の勤務をこなしながら、1日数時間のトレーニングに励んでいる。府内有数のボディービルダーを輩出するディグラにも通い、太田研二代表らのアドバイスを受けながら汗を流す。萩さんは「専門家から客観的な意見が聞けるのはありがたい。とてもいい環境でトレーニングができています」と笑顔で語る。
今後の目標
ディグラの太田代表はJUKOの筋トレ採用に「警備会社のイメージを変えたいと聞き、協力できたらと考えた」と振り返る。萩さんについては「弱点を改善していかに精度を上げていくかが課題」と指摘する。
萩さんは6月、京都市内で開催された「府オープン大会」に出場。健康的な肉体美を競う「メンズフィジーク」の172センチ以下級で5位に入り、7月の「府男子ボディビル選手権大会」でも8位と健闘した。「まずは京都で1位を取りたい」と語っていた萩さんにとっては悔しい結果になったが、奥野さんは「わずか数カ月で予想以上の結果を出し驚いている。新たな若手社員獲得のための相乗効果を期待しています」と話している。



