金利上昇でiDeCoの受け取りルールが変更、60歳一時金が損する時代に
金利上昇でiDeCo受け取りルール変更、60歳一時金が損する時代

31年ぶりに政策金利が1%に達したことで、金利上昇の影響が家計や資産運用に及んでいる。為替やローンの変動に加え、個人の退職金や年金計画にも変化が生じている。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、特にiDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取りルール変更に注目すべきだと指摘する。

iDeCoの受け取りルールが変更、節税テクニックが使えなくなる

深野氏によれば、従来は「退職所得控除をフル活用する」ために、iDeCoを60歳で一時金として受け取り、退職金は65歳以降に受け取る方法が節税テクニックとして知られていた。iDeCoと退職金を同時に受け取ると両者は合算され、退職所得控除の上限を超えた分に税金がかかる。しかし、5年以上の間隔を空ければ(いわゆる「5年ルール」)、控除を両方で最大限使うことができた。

ところが、2026年1月以降に受け取るiDeCoの一時金からは、この間隔が実質5年から10年に延長された。これにより、従来の節税戦略が通用しなくなる。深野氏は「増税だ」「改悪だ」という批判に対して冷静な見方を求めている。

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旧ルールは一部の人しか活用できなかった

深野氏は、旧来の5年ルールを実際に活用できた人は多くなかったと説明する。iDeCoを60歳で受け取り、退職金の受け取りを65歳や70歳に遅らせるには、会社が個人の希望に合わせて退職金の支払い時期を調整する必要がある。現在は60歳定年の会社でも65歳までの継続雇用が義務付けられているが、多くの会社は60歳時点で退職金を支払ってしまう。そのため、このテクニックは一部の限られた人しか使えなかった「抜け穴」であり、それが少し狭まったに過ぎないという。

新しいルールの影響と今後の対応

ルール変更により、60歳でiDeCoを一時金として受け取るメリットは減少した。深野氏は、節税だけにこだわるとかえって損をする可能性があると警告する。例えば、iDeCoを一時金ではなく年金形式で受け取る、または受け取り時期を調整するなどの戦略が考えられる。また、退職金とiDeCoの受け取り時期を10年以上離すことができれば、従来と同様の控除効果を得られる可能性もあるが、現実的には難しいケースが多い。

金利上昇時代の資産運用のポイント

深野氏は、金利が上昇する環境では、預金や国債などの利回りが改善する一方、変動金利型のローンを抱える人は金利上昇の影響を受けやすいと指摘する。資産運用においては、節税効果だけに頼らず、長期的な視点で分散投資を行うことが重要だ。また、iDeCoやNISAなどの制度を賢く活用し、自分のライフプランに合わせた受け取り計画を立てる必要がある。

まとめ:ルール変更を機に戦略を見直そう

iDeCoの受け取りルール変更は、確かに一部の節税テクニックを難しくしたが、もともと多くの人にとっては影響が限定的だった。深野氏は「一握りの人だけが大きく得をする仕組みは、制度として長続きしない」と述べ、今回の改正を前向きに捉えるよう促している。金利上昇時代を生き抜くためには、制度の変更に柔軟に対応し、自分に最適な資産運用と受け取り戦略を構築することが求められる。

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