ペルソナ作り込みは逆効果?ヒット商品を生む「たった一人」の観察法
ペルソナ作り込みは逆効果?ヒット商品を生む観察法

マーケティングの現場で長年使われてきた「ペルソナ」手法。しかし、第一線では企画初期から精密に作り込むことは減っているという。代わりに注目されているのが、身近な「たった一人」を観察するアプローチだ。アグリエール代表取締役の浅野恭弘氏が、その具体的な方法を解説する。

ペルソナ手法の限界

ペルソナとは、「都心から1時間ほどの場所に住む4人家族。夫は休日にカフェでゆっくりコーヒーを飲むのが好きで……」といった典型的なユーザー像を細かく描く手法。しかし、作り込みすぎて架空の人物になり、実際のターゲットと乖離する問題が起きている。浅野氏は「せっかく時間をかけて作り込んだペルソナが、役に立たなくなっては元も子もない」と指摘する。

「たった一人」の観察法

そこで浅野氏が提案するのが、データの中から身近なよく知っている人を一人見つける置き換えの作業だ。「仕事が忙しくて自炊ができない弟」や「最近健康を気にしてジムに通い始めた同僚の佐藤さん」といった具合に、自分の知っている「あの人」に置き換える。すると、「佐藤さんなら、平日の夜は疲れて手の込んだ食事は作らないはず。でも週末にはちょっといいものを食べて自分を労わりたいだろう」といったリアルな日常が見えてくる。

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特定の一人を思い浮かべることで、言葉のトーンや売り場の選び方、パッケージのデザインまで具体的なイメージが湧きやすくなる。手元に詳細な調査データがなくても、自分が丹精込めて作ったブランドや商品を誰かに贈るプレゼントだと考え、「誰を思い浮かべて作りましたか」「どんなときに使ってもらいたいですか」と心に問いかけてみる。

観察によるアプローチの実践

売り場に来る人、過去に商品を買ったことがある人、競合の商品だけを使い続ける人――世の中には一人の人物像に収まりきらない人が大勢いる。その中からたった一人を選び、徹底的に観察する。「この人には、こう刺さるはずだ」という仮説を立て、小さく試し、反応を見ながら修正する。この繰り返しが、現実にヒットするものを作り上げていく。

重要なのは、ブランドを世に出したときに「自分のための商品だ」と思ってもらえるよう、ターゲットへの理解度を高めること。どこにもいない架空の人物を作るより、顔が見える相手を想像するほうがずっとリアルで共感しやすい。

浅野氏は著書『ブランディング一年目の教科書 売れる価値のつくり方』(総合法令出版)で、この手法を詳しく解説している。

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