トランプ前大統領が導入した関税政策が、米国自動車産業に深刻な影響を及ぼしている。2025年の米国自動車販売台数は、2022年以来となる低水準に落ち込む見通しだ。業界関係者によると、関税による部品調達コストの上昇が車両価格に転嫁され、消費者需要が冷え込んでいる。
販売台数は3年ぶりの低水準
業界団体の米国自動車工業会(AAM)の発表によれば、2025年の米国新車販売台数は約1,500万台と予測され、前年比で約5%減少する見込みだ。これは2022年の約1,370万台以来の低水準であり、パンデミック後の回復基調に歯止めがかかった形だ。
特に、トランプ前大統領が2018年に導入した鉄鋼とアルミニウムへの関税に加え、2024年に追加された自動車部品への25%関税が大きく響いている。これらの関税により、米国内で組み立てられる車両の部品コストが平均で約1,200ドル上昇したと試算されている。
消費者への影響とメーカーの対応
部品コストの上昇は、最終的に消費者価格に跳ね返っている。米国自動車協会のジョン・スミス会長は、「関税により、平均的な新車価格が約2,000ドル上昇した。これが購買意欲を削いでいる」と述べている。実際、2025年第1四半期の新車平均価格は約4万8,000ドルと、前年同期比で約4%上昇した。
自動車メーカー各社は、コスト削減や生産拠点の見直しを迫られている。フォード・モーターは、メキシコからの部品輸入を減らし、米国内での調達を増やす方針を発表した。一方、ゼネラルモーターズ(GM)は、関税の影響を緩和するために、一部モデルの生産をカナダから米国に移管する計画を進めている。
業界全体への波及効果
販売台数の減少は、自動車ディーラーや部品サプライヤーにも波及している。全米自動車ディーラー協会によると、2025年上半期のディーラー倒産件数は前年比で約20%増加した。また、部品メーカーの間では、関税によるコスト増を吸収できず、利益率が圧迫されている。
さらに、雇用への影響も懸念されている。米国自動車産業の雇用者数は、2025年に入ってから約3万人減少しており、この傾向は続くと予想される。業界専門家のジェーン・ドウ氏は、「関税は短期的には国内産業を保護するように見えるが、長期的には競争力を損なう」と警鐘を鳴らす。
政策変更の可能性
バイデン政権は、トランプ前大統領の関税政策の一部を見直す方向で検討を進めているが、具体的な動きは鈍い。商務省の関係者は、「関税撤廃には議会の承認が必要であり、政治的なハードルが高い」と述べている。一方、自動車業界からは、関税の段階的撤廃や例外措置の拡大を求める声が強まっている。
今後の見通しについて、AAMは「2026年も販売台数は横ばいか微減が続く可能性がある」としている。関税問題が解決しない限り、米国自動車産業の回復は難しいとの見方が支配的だ。



