東洋経済の独占取材により、日本の半導体戦略の全貌が明らかになった。政府は2030年までに国内半導体市場を現在の3倍にあたる15兆円規模に拡大する目標を掲げている。経済産業省の担当者は「半導体は経済安全保障の要。官民一体で取り組む必要がある」と強調する。
Rapidusの挑戦:2ナノメートル世代の量産へ
中核プロジェクトとなるのが、新会社Rapidusによる2ナノメートル世代の半導体量産だ。2027年の量産開始を目標に、北海道千歳市に工場を建設中。総投資額は約5兆円と見込まれ、そのうち政府補助金は約9,200億円が決定している。
Rapidusの小池淳義社長は「世界最先端の半導体を日本で製造することで、産業競争力を取り戻す」と語る。同社はIBMと提携し、技術供与を受ける計画だ。
補助金政策の実態と課題
政府は2021年度からの3年間で半導体関連に約3.9兆円の補助金を計上。TSMCの熊本工場にも最大4,760億円の補助が決まっている。しかし、専門家からは「持続可能な産業育成には民間投資の拡大が不可欠」との指摘も。
ある半導体業界関係者は「補助金頼みでは真の競争力は身につかない。企業自身の収益力向上が重要だ」と警鐘を鳴らす。
人材育成と研究開発の強化
政府は半導体人材の育成にも力を入れる。2023年度から5年間で約1,000人の専門人材を育成する計画。東京大学や東北大学などと連携し、カリキュラムを整備する。
また、次世代技術の研究開発には官民で1兆円規模の基金を設立。光電融合技術や新材料の開発を加速させる。
国際連携と経済安全保障
日本は米国やオランダなどと連携し、先端半導体の対中国輸出規制を強化。一方で、国内生産基盤の強化により、安定供給を確保する狙いだ。
経済産業省の審議官は「国際的な分断が進む中、日本が果たす役割は大きい。技術とサプライチェーンの両面でリーダーシップを発揮したい」と述べた。



