すかいらーくホールディングス(HD)が2024年10月に240億円で買収したうどんチェーン「資さんうどん」が、快進撃を続けている。買収時の72店舗から現在は100店舗を超え、2026年6月18日には台湾にも初出店を果たした。同社の崎田晴義社長は、PRESIDENT Onlineのインタビューで「240億円は安い買い物だった」と断言し、資さんうどんがかつてガストが担っていた「低単価・ファミリーダイニング」のポジションを継承できると語った。
崎田社長が語る「240億円は安い」の真意
すかいらーくによる資さんうどんの買収は、2024年10月に発表され、業界を驚かせた。買収時の資さんうどんの年間売上高は約160億円。72店舗の規模に対して240億円という評価額は、一部から「割高」との見方も出た。しかし、崎田氏は「単純な数字だけで見れば高いように思えるかもしれないが、資さんうどんはガストに匹敵する、当社の屋台骨になるポテンシャルを持っている。だから安い」と述べた。
すかいらーくグループの中核であったガストは、近年の物価高騰を受けて「低価格」帯からやや上の価格帯へシフトしており、その空白を埋める業態が必要となっていた。崎田氏は「資さんうどんの『かしわごぼ天うどん』は700円台、シンプルな『かけうどん』は400円程度で、客単価1000円以下に抑えられる。さらに、うどんだけでなくサイドメニューも豊富で、メニュー数は150種類以上。専門店の要素とファミリーレストランの要素を併せ持つ点が魅力だった」と説明する。
年間20店舗以上の出店計画と業態転換
すかいらーくは資さんうどんの積極的な拡大を計画している。崎田氏は「年間20店舗以上の出店は可能だ。当初は『できるわけがない』と言われたが、すかいらーくの持つ物件情報や開発力を活用すれば実現できる」と語る。実際、買収から約1年半で店舗数は約4割増加し、100店を突破した。さらに、台湾進出は海外展開の第一歩であり、今後もアジアを中心に海外出店を検討する。
すかいらーくは、不採算店舗の業態転換も積極的に進めている。崎田氏は「自分たちで新しいブランドを一から作るには時間がかかる。資さんうどんのような既存の強いブランドを、すかいらーくの物件や運営ノウハウと組み合わせることで、効率的に成長できる」と述べ、業態転換の重要性を強調した。
非効率を貫く「手作り」へのこだわり
効率化を極めたすかいらーくの傘下に入った資さんうどんは、しかし「非効率」をあえて貫く部分もある。崎田氏は「資さんうどんは1日に20回以上、店舗で出汁をとっている。これは非効率だが、おいしさの根幹であり、絶対に変えてはいけない」と断言する。効率化と品質維持のバランスをどう取るかが、今後の課題であり、強みでもある。
崎田氏は「守るために変える。変えるために守る」という方針を掲げ、ブランドの中核価値は維持しつつ、運営面ではすかいらーくのスケールメリットを活かした改革を進める。具体的には、発注システムの効率化や、すかいらーくグループ全体での食材調達によるコスト削減などを進めている。
北九州の「関係人口」を活用した地域密着
資さんうどんは北九州発祥のチェーンで、地元での支持が厚い。崎田氏は「北九州には潜在的な『関係人口』が多く、資さんうどんを通じて地域とつながる人々を増やしたい」と語る。台湾出店も、現地の日本食ブームに乗るだけでなく、北九州の食文化を発信する役割も担う。
崎田氏は業態開発のスペシャリストとして、すかいらーくグループ内で「ラ・オハナ」「むさしの森珈琲」「イタリアンリゾートペルティカ」などのブランドを立ち上げてきた。その経験を活かし、資さんうどんを「ガストに代わる屋台骨」に育て上げる覚悟だ。



