2024年10月、すかいらーくホールディングスが北九州発のうどんチェーン「資さんうどん」を約240億円で買収し、完全子会社化した。買収後、味の変化を懸念する声がファンから上がったが、現在も各店舗で出汁をとり続け、創業時の精神を守っている。全国100店舗を超えるチェーンとなっても、店舗によっては1日20回以上出汁をとるという非効率ともいえる工程を維持している。
買収後も変わらぬ味へのこだわり
資さんうどんの崎田晴義社長は、買収後に多くの選択を迫られたが、出汁については「譲れないポイント」だったと語る。「均一化、効率化を考えればセントラルキッチンでの一括生産がいいに決まっている。でも、店舗で出汁をとることは変えません」と強調する。多くのファンから期待と不安の声が寄せられ、「人間のスタッフが消え、配膳ロボットが走り回るのではないか」といった懸念もあったという。
非効率な工程が生む価値
崎田社長は、資さんうどんの本質は「店舗でとる出汁」にあると考える。セントラルキッチン方式を採用すればコスト削減や味の均一化が可能だが、それでは他チェーンとの差別化が難しくなる。各店で出汁をとることで、地域ごとの水質や気候に合わせた微調整が可能となり、独自の味わいを提供できる。崎田氏は「数値だけではなく、最後は社員の評価」と述べ、効率化よりも品質を優先する姿勢を示している。
おでん鍋はフルオープンに
資さんうどんの特徴の一つが、店内に設置されたおでん鍋をあえてフルオープンにしている点だ。これは、調理工程を見せることで安心感と信頼を提供する狙いがある。崎田社長は「おでん鍋はあえてフルオープンにしている。お客様に調理の様子を見ていただくことで、安心して食べていただける」と説明する。このオープンなスタイルは、効率化とは逆行するが、顧客満足度向上に寄与している。
「絶対に成功しない」という考え方
買収時には「絶対に成功しない」という声もあったが、崎田社長は「特別な資さんではなく、日常の資さん」を目指すと語る。すかいらーくの規模を活かしつつ、地域密着型の運営を継続することで、ファンの支持を得ている。買収後も売上は好調で、新規出店も進んでいる。
今後の展望
資さんうどんは今後も、店内で出汁をとる伝統を守りながら、全国展開を加速する。崎田社長は「お客様に愛される店であり続けるため、味のクオリティを決して落とさない」と宣言している。すかいらーくグループのリソースを活用しつつ、ブランドの独自性を維持する戦略が、今後の成長を支える鍵となりそうだ。



