住宅価格の高騰が続く昨今、「いくらの家なら買えるのか」は多くの人にとって切実な問いです。本記事では、住宅価格高騰の実態とあわせて、年収倍率や返済比率など購入価格を考えるうえでの基本指標と、年収別の目安をわかりやすく解説します。
「購入できる価格」はどう決まる?
購入できる住宅価格を考えるとき、よく使われる指標が「年収倍率」です。年収倍率は、住宅購入価格が世帯年収の何倍であるかを示す数値で、一般的には5~7倍が無理のない水準とされています。
住宅金融支援機構の「2024年度 フラット35利用者調査」によると、住宅を購入した人の住宅の種類ごとの年収倍率は、以下の通りとなっています。
- 土地付注文住宅: 7.5倍
- マンション: 7.0倍
- 注文住宅: 6.9倍
- 建売住宅: 6.7倍
- 中古マンション: 5.5倍
- 中古戸建: 5.3倍
住宅の種類ごとに多少の差はみられるものの、「無理のない水準」とされる年収の5~7倍程度の住宅を購入する人が多いことがわかります。
新築マンションの年収倍率は10.38倍、東京は17倍
一方で、東京カンテイが発表したデータによると、2024年に販売・流通した全国の新築マンションを対象にした年収倍率は、前年比0.29ポイント増の10.38倍でした(70㎡換算価格4,835万円を平均年収466万円で除算)。都道府県別に見ると、最も高いのは東京都で17.00倍、次いで神奈川県は14.04倍、京都府は13.89倍となっています。
このように、市場にある新築マンションをもとに年収倍率を算出すると、住宅価格の上昇ぶりが実感できます。
もっとも、フラット35利用者調査は、実際に住宅を購入した人を対象とした調査です。そのため、頭金を入れたり、価格帯を調整したりして買うため、平均的な市場価格よりも低い水準に収まりやすいといえます。また、中古や戸建を含む実購入では年収倍率が下がりやすい一方、新築マンションを対象としたデータは倍率が上がりやすい構造になっています。
住宅購入の負担が増す中、実際に家を買う人の多くは、中古物件や手頃な地域も視野に入れながら、無理のない価格帯で購入しているのが実情です。価格高騰に惑わされず、背伸びをしない予算を冷静に見極めましょう。
年収別の「購入価格の目安」は
年収倍率を無理のない水準の「6倍」とした場合、購入できる住宅価格の目安は以下のようになります。
- 世帯年収600万円: 3,600万円
- 世帯年収800万円: 4,800万円
- 世帯年収1,000万円: 6,000万円
- 世帯年収1,200万円: 7,200万円
ただし、頭金の有無や金額、返済年数、金利の状況などによっても、購入できる住宅価格の範囲は変わります。年収倍率だけでなく、これらの要素も考慮して総合的に判断しましょう。
また、あわせて考えたいのが、「返済比率」です。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合のこと。住宅ローンだけでなく、カードローンやマイカーローン、奨学金などの借入がある場合、それらも含めた合計で計算します。
この返済比率は、住宅ローン審査で重視されている基準で、金融機関の基準はおおむね「30~35%」に設定されています。しかし、それはあくまで審査上の上限であり、「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」が同じとは限りません。一般的に、返済比率は「手取り年収の20~25%以内」が安心できる範囲といわれています。
住宅価格高騰、住宅ローンで工夫できること
住宅価格が上昇する今、住宅ローンの融資の現場ではどのような悩みが寄せられているのでしょうか。また、住宅ローンの組み方に変化はあるのでしょうか。
住宅ローン専門金融機関である日本住宅ローンの担当者によれば、住宅価格の上昇に伴い、ペアローンや50年ローンを選択する人が増えているといいます。
「住宅価格の上昇に伴い、お客様ごとの平均借入金額は増加傾向にあります。そのため、共働きを前提にペアローンを利用されるお客様や、月々の返済負担を抑えるために返済期間を長期化し、50年ローンを選択されるお客様も増えています。実際に、お客様からは『希望する物件を購入できてよかった』というお声を多くいただく一方で、『長期間、無理なく返済を続けられるのか不安』というお声も寄せられています。」
住宅価格の上昇は、借入額だけでなく、住宅ローンの選び方にも変化をもたらしているようです。さらに昨今では、金利上昇局面を踏まえた相談も増えているといいます。
「また、現在は金利上昇局面にあるため、変動金利を選択した場合、将来的な金利上昇により、当初の想定よりも返済額が増える可能性が高まっています。そのような不安への備えとして、金利が一定で返済額が変わらない全期間固定金利の【フラット35】を利用することも、有効な選択肢の一つです。変動金利との金利差を気にされるお客様もいらっしゃいますが、【フラット35】では、住宅の性能やお子様の人数等に応じて、最大1.00%の金利引き下げ制度も用意されています。」
「例えば、当社の『2年待てるローン(フラット極40)』であれば、ペアローンを利用すると最大4名(例:ご夫婦とご両親)でお借入れいただくことが可能であるため、無理のない返済水準を実現しやすくなることに加え、通常のペアローン(例:ご夫婦のみ)よりも協力して返済を進めることが出来ます。また、最長40年まで借入可能であるため、35年返済よりも月々の返済負担を抑えることが可能です。」
「住宅価格が上昇し、金利の先行きが見通しにくい今だからこそ、借りられる金額だけで判断するのではなく、今後のライフプランを見据えて、無理のない借入額とご自身に合った住宅ローンを選んでいただくことが大切です。」
まとめ
住宅価格が上昇する一方で、ペアローンや長期返済など住宅ローンの選択肢も広がっています。年収倍率や返済比率を一つの目安としながら、将来のライフイベントや金利動向も踏まえ、自分たちの家計に合った住宅購入計画を立てることが大切だといえそうです。
武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。
日本住宅ローン株式会社は、日本を代表する大手ハウスメーカー4社と大手金融機関が共同で出資した住宅ローンを中心に取り扱う金融機関。全期間固定金利である【フラット35】を中心として、様々なローン商品を展開。特に、【フラット35】保証型商品においては、業界初となる借入期間40年(通常は35年)の「フラット極40」を開発。さらに、同商品を活用し、2年後以降いつでも無料で変動金利に切り替えることができる「2年待てるローン」を提供するなど、先進的な取り組みを数多く実施している。また、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)が提供するシニア向け商品「リ・バース60」をいち早く取り入れ、「MCJご自宅活用ローン"家の恩返し"」(新築)(借換+リフォーム)として提供しており、取扱実績はNo.1を誇る。



