「管理職」の常識を覆す:デキる上司は命令せず、判断力を磨く
デキる上司は命令せず、判断力を磨く「管理職」の常識覆す

元日本マイクロソフト役員で、現在は圓窓代表取締役を務める澤円氏は、著書『思考をアップデートする全技術 うまくいく人はなぜ、考え方を柔軟に変化させられるのか?』(アスコム)の中で、日本の企業における「ヤバイ管理職」が量産される根深い理由を指摘している。

澤氏によると、マネジメントの本質は「判断をくだすこと」であり、部下のやる気や行動を「管理」することではないという。しかし、日本では「管理=マネジメント」という誤った概念が根づき、現場で優秀だった人ほど管理職に向いていないケースが多いと警鐘を鳴らす。

日本は「マネジメント後進国」

澤氏は、日本が「マネジメント後進国」であると断言する。マネジメントの概念が悪い形で根づいてしまっており、「管理」という言葉がその象徴だと述べる。「管理=マネジメント」ではなく、「管理職=マネジャー」でもない。マネジメントにはもっと広く、奥深い意味が含まれており、「最適な日本語訳がないのでは?」と思うほどだと語る。

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マネジャーの最も基本的なタスクは「判断すること」だ。具体的には、「マーケットを俯瞰して、自社のリソースを最適に配置する判断」がこれにあたる。リソースの最適配置には多分野の知識が必要であり、より広い観点から判断することがマネジャーの仕事である。管理の側面もあるが、それはあくまでタスクの一つに過ぎない。

「モチベーションを上げろ」はマネジャー失格

澤氏は、よく上司が口にする「もっとやる気を出せ!」「モチベーションを上げていこう!」といった言葉を厳しく批判する。こうした指示はマネジャー業失格であり、モチベーションは他者が手を加えて上がるものではないからだ。上から命令したからといって、部下のモチベーションは上がらないと断言する。

「マネジャーの立場にいる人は、この事実をまず理解したほうがいいでしょう。たとえ結果的に上がったように見えても、『人間のやる気というのは、他者によっては変えられない』ことを前提に考えたほうがいいと僕は思います」と澤氏は述べている。

「デキる上司」と「デキない上司」の差

デキる上司とデキない上司の差は、どこにあるのか。澤氏は、デキる上司ほど命令や指示をせず、まったく違うアプローチをとっていると指摘する。具体的には、部下に対して「必要ならサポートする」と言うだけで、細かい指示を出さない。また、マネジャーとチームメンバーの競争はNGであり、マネジャーは全体が見えているかどうかが重要だと説く。

一方、デキない上司は「数字を上げろ」「書類を作れ」「やる気を出せ」と連発し、部下のモチベーションをブロックする「モチベブロッカー」と化している。澤氏は、こうした上司が日本の企業で量産され続ける原因は、管理職が「名誉職」になっていることにあると分析する。

未来の話に時間を使う重要性

澤氏は、コミュニケーションの本質は「いかに未来の話をするか」にフォーカスすることだと強調する。過去の狭い価値観や成功体験にとらわれていては、未来の可能性は開かれない。ビジネスでも同様で、過去の話をしても何かを生み出すことはできない。いかに「未来に関するトピック」に時間を使うかが、ビジネスの要諦である。

この考え方は、マネジメントにも直結する。マネジャーは過去の成功体験を押し付けるのではなく、チームメンバー一人ひとりの能力や適性を見極め、未来に向けたリソースの最適配置を判断する必要がある。そのためには、高度なヒアリング能力が求められる。

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澤氏は、マネジメントの「当たり前」をアップデートし、日本企業が真のマネジメントを実践することを提言している。