大阪の老舗パン屋、2年連続1億円超の赤字からV字回復 離職率は業界平均の5分の1以下に
大阪の老舗パン屋、2年連続1億円超の赤字からV字回復 離職率は業界平均の5分の1以下に

大阪市生野区に本社を置き、大阪で20店舗を展開する老舗ベーカリー・ダイヤが、創業史上最悪となる赤字から回復した。2020年から2022年にかけて3期連続で1億円を超える営業赤字を計上したが、現在は離職率が業界平均の5分の1以下に激減し、退職者まで戻ってくる職場へと変貌を遂げている。

デパ地下に行列、新ブランドが話題に

2026年4月20日、大丸梅田のデパ地下に長い列ができた。その日オープンしたベーカリー「D.baguette by parigot & DIA(ディー・バゲット)」を目当てに、夕方には棚のパンがほぼ売り切れるほどの盛況だった。6月半ばの現在まで行列は途切れず続いている。

ディー・バゲットは、創業80年のダイヤと、世界製パン競技会で日本チームを初優勝に導いた「Boulangerie parigot」の安倍竜三オーナーシェフが共同で立ち上げた新ブランドだ。新店オープンの社内告知が出た際、ダイヤでは珍しい現象が起きた。配属希望者が殺到したのだ。これまでは新店ができても「慣れた店でいいです」と異動を渋るのが当たり前だったが、製造・販売の両部門から「新しいお店で働きたいです」と手を挙げる人が続出。一度退職した元店長まで「もう一度、正社員で働かせてください」と1年ぶりに戻ってきた。

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赤字続き、銀行からの叱責

ダイヤの3代目社長・多田俊介氏(46)は、2020年7月に父の跡を継いで就任した。コロナ禍の商業施設休業要請で店舗は6つ閉まり、駅構内の店も客が来ない状況だった。就任当時、誰からも祝いはなかったという。

就任後も経営統括本部での業務が続き、実感は薄かったが、銀行からの厳しい叱責が転機となった。2020年から2022年までの3期連続で1億円を超える営業赤字を計上。約80年の歴史で最大の赤字だった。複数の銀行を訪ね、頭を下げる日々が始まった。メガバンクの応接室では「これから先、どういう経営をしていかれるつもりなんですか? この借金、どうやって返すつもりなんですか?」と低い声で詰められたこともあったという。

改革の内容と現在の姿

多田氏は社内アンケートを実施し、従業員の声を反映した改革を進めた。具体的な内容は記事の続きで詳述されているが、残業代の計算に1日が終わるような業務の見直しや、人間らしく身体に負担のないシフトへの変更、働き過ぎによる弊害の防止、会議に居座らない文化の醸成など、日本企業の「当たり前」をやめる取り組みが行われた。

アルバイトのアイデアが商品化されるなど、現場の声を活かす風土も生まれた。こうした改革により、離職率は業界平均の5分の1以下に激減し、退職者が戻ってくる会社へと変貌を遂げた。新ブランドの成功もあり、ダイヤは現在も行列が絶えない人気店として再生を遂げている。

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