小野薬品工業が2014年に発売したがん免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の特許切れが間近に迫っている。28年度に米国、30年度に欧州、そして31年度には自社で販売する日本市場でも特許が切れる見通しだ。欧米での特許が切れると、これらの地域で商業化権を持つ米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)からのロイヤルティ収入は段階的に減っていく。小野薬品自身が販売する日本においても、後発薬に置き換わって製品売上高の減少が予想される。
オプジーボの「特許の崖(パテントクリフ)」対策は、同薬で全社売上高の5割超(ロイヤルティ含む)を稼ぐ小野薬品にとって、長年の経営課題だった。特許切れ後、いかに再成長軌道へと戻していくのか。相良暁会長CEOに戦略を聞いた。
オプジーボの適応疾患はまだ拡大できる
相良CEOは、オプジーボががん治療に一石を投じたと述べる。従来のがん治療は手術、抗がん剤、放射線治療の3つが中心だったが、オプジーボは4つ目の治療法を確立した。薬剤によって体の免疫を活性化させ、がんを弱らせたり、殺したりする。特徴は、長く効くことだ。抗がん剤は一般的に、一定期間投与すると体に耐性ができて効かなくなってくるが、オプジーボの場合は、効く体質の患者であれば持続期間が長い。
現在、オプジーボは14種類のがんで使えるようになっている。特許切れを目前にしても、新たな効能を広げている。さらに希少疾患で効能追加をすると、独占期間(再審査期間)が10年間追加される。オプジーボの特許は日本で31年度に切れるが、例えば26年度に希少疾患で新たな効能の承認が取れれば、36年度まで独占期間が延びる。オプジーボが役に立てる患者さんは希少疾患領域でまだいる。ここに届けていきたいと相良CEOは語る。
皮下注射製剤も普及させていく。今は点滴によって30分ほどかけて投与しているが、皮下注になれば、3~5分ほどと短時間で済む。医療者、患者さん双方にとって利便性が高まる。米国では25年に発売されているが、国内ではもう少し先になりそうだ。
買収で手にしたノウハウ・人材の大きさ
相良CEOは、買収で得たノウハウや人材の重要性にも言及している。小野薬品は近年、海外企業の買収を積極的に進めており、これにより得られた知見や人材が今後の成長を支えると期待される。
売上高の半分~7割が海外になる
相良CEOは、将来的に売上高の半分から7割が海外からになる見通しを示した。海外事業の強化が、特許切れ後の収益源として重要視されている。
薬価制度の「複雑さ」解消を
相良CEOは、日本の薬価制度について「薬価の予見可能性を高めること」が重要だと指摘し、その複雑さが問題点であると述べた。制度の改善が、新薬開発や事業計画の策定において重要だとしている。



