NHK受信料改革:1億総テレビ離れ時代に必要な公共メディア料金と役割見直し
NHK受信料改革:公共メディア料金と役割見直し

NHKの事業収支差金(企業の利益に相当)が3期連続の赤字に陥った。テレビ離れが加速する「1億総テレビ離れ」時代にあって、受信料制度の抜本改革が急務となっている。メディアコンサルタントの境治氏は、NHKと民放・新聞が協業する「公共メディア料金」の導入と、NHKの役割を公共性に特化する改革を提言する。

「公共メディア料金」の仕組み

境氏が提唱する「公共メディア料金」は、放送インフラの維持のために徴収される。その上で、コンテンツの制作費については役割を分担する。民放と新聞社は、インフラ以外の制作費を広告収入やサブスクリプションなどで自ら稼ぐ。一方、NHKは公共メディア料金を制作費にも充てることができる唯一の存在として残る。

これは、NHKが「最後の公共インフラ」としての役割を担う代わりに、民放・新聞とは異なる立場を明確にするための切り分けだ。民放・新聞は稼ぐ努力を放棄してはならない。

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NHKの番組改革:娯楽を削減、公共性に特化

境氏は、NHK自身も身軽になる必要があると指摘する。娯楽性の強い番組は大幅に減らすべきだ。「朝ドラや大河ドラマはもう役割を終えている」と述べ、その代わりに22時台の社会性の高いドラマは今後も制作すると主張する。ゴールデンタイムの民放と見分けがつかない娯楽番組はなくし、大みそかの紅白歌合戦も不要だと訴える。

これにより、支出を大幅に削減しても運営できる体制に切り替える。NHKが「何でもやる総合メディア」であり続ける限り、コストは下がらず、受信料への抵抗感も消えない。視聴者にも見られなくなる。公共性を軸に業務を絞り込んで初めて存続が正当化される。

民放・新聞との協業で信頼インフラを維持

「公共メディア料金」の肝は、NHKと新聞・民放を対立関係から協業関係に置き直す点にある。新聞や民放にとって、真の競合相手はNHKではなく、SNSやそこから流れ込むフェイクニュース、断片化した情報だ。NHKと新聞、民放が共通の土台の上で「安心安全な情報」を国民に届ける仕組みを再構築できれば、受信料は「NHKだけのための負担」から「メディア全体の信頼インフラを維持するための負担」へと意味が変わる。

この点を民放や新聞社も含めて国民に丁寧に説明し、時間をかけて理解を得て初めて、この制度が成立する可能性が出てくる。料金を義務にするか任意にするかも、その誠実さにかかっている。境氏は「渋谷の奥でふんぞり返っていては絶対に無理だ」と警鐘を鳴らす。

10年後のオールドメディア存亡の危機

団塊世代の死亡増加と放送離れによるオールドメディアの存亡危機は、10年というスケールで見れば避けられない既定路線だ。数年後に「放送離れ」が決定的になったときに個別に生き残りを図っていては、誰も生き残れない。今こそ、抜本的な改革が求められている。

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