新卒採用の様相が変わりつつある。学生にとって有利な売り手市場が続く中、複数社の内定・内々定を承諾する学生が増えている。辞退すれば内定辞退も増えているといえる。
新卒3割が複数社に内々定を承諾
2027年3月卒業で大学を卒業する「27年卒」の学生のうち、内々定を得た1482人に対するビズリーチの調査によると、学生の約3割が複数社に対して内々定を承諾していることが判明。「内々定辞退予備軍」の実態が明らかになった。
十分年前の感覚では考えにくいが、今の学生たちにとっては普通なのかもしれない。実際、今どきの学生は何を考えているのか。27年卒の学生たちが語った「生の声」をお届けする。
内々定を承諾した企業数は平均1.5社
ビズリーチの調査では、2027年卒学生の内々定獲得数は平均2.9社、内々定承諾社数は平均1.5社だった。複数社の内々定を承諾した学生は、全体の31.8%に上る。
複数社への内定承諾は、十分年前は考えられないことでした。お二人自身や周囲の状況はいかがですか。
アキトシさん(仮名、中部地方の国立大学理系学部在籍、コンサルティング業界など複数社から内々定):「私は2社からの内々定を承諾しました。友人もだいたい2社ほど内々定を承諾しています。『承諾しなければ不安』という思いが大きく、承諾している状況です」
リコさん(仮名、関東の私立大学商学部在籍、IT業界で複数社から内々定):「私も2社の内々定を承諾しました。周囲でも、複数社からの内定を承諾している人が多いですね」
内々定承諾2社、どちらを選ぶ?判断基準は現場社員との面談
内々定承諾が2社ということは、どちらか1社を選ぶことになります。「内定の承諾」という行為に対して、どれほどの「重み」を感じていますか。
アキトシさん:「私の場合、最初に内々定を頂いた会社の承諾期間が、選考を進めている他の会社と被っていませんでした。『ここで承諾せず進んで、他社の選考がうまくいかなかったらどうしよう』という不安がありました。申し訳ない気持ちはありましたが、承諾せざるを得なかったというのが正直なところです。就職活動の長期化が、要因の一つだと思います」
リコさん:「現時点では最終決定していません。内々定を頂いた後の交流会などを踏まえて、入社する企業を選びたいという思いがあり、複数社の内々定を承諾しました」
内定辞退の理由トップは「やりたい仕事内容とのズレ」
ビズリーチの調査で、内々定辞退の理由として最も多かったのは「やりたい仕事内容とのズレ」(24.8%)、次に「キャリア成長、将来性への不安」(19.1%)だった。
内定辞退の理由について、調査結果は2人の感覚に近いものでしょうか。
アキトシさん:「内々定を頂いたタイミングが、1社目は2025年10月、2社目は2026年2月でした。約4カ月ほど期間があり、その間で就職活動の軸がさらに固まりました。2社から内々定を頂き『どちらかで決めなければならない』となったとき『以前の自分ならこの会社(1社目)が合っていると思っていたけれど、今の自分ならこっち(2社目)の方が合う』と感じるようになっていました」
リコさん:「私は今まさに悩んでいるさなかなのですが、将来性への不安はあります。就職活動を進める中で『やりたい仕事』だけでなく『自分が望むキャリアを歩めるか』『ワークライフバランスはどうか』といったことも考えるようになりました。『この会社でこれから人生を歩んでいく』と考えたとき『本当に大丈夫なのか』という不安を感じることが多くあります」
学生の企業選びは現場社員との面談を重視
学生たちは選考が進むにつれて「人事との面談」よりも「現場社員との面談」を重視する傾向が調査結果から浮かび上がった。意思決定終盤において影響が大きかった機会として「現場社員との面談」(74.8%)、「現場社員との座談会」(66.6%)が上位を占めた。
「どちらの会社が自分の選択として望ましいか」を確かめる術として、どのようなことに取り組んでいますか。
アキトシさん:「企業を比較するときは、仕事内容だけでなく、一緒に働く人のイメージが持てるかどうかも大きかったです。社員の方や、同期になるかもしれない内々定者と接する中で『この人たちと働きたい』と思えるようになったことが最終的な判断につながりました」
リコさん:「最初はワークライフバランスを重視していましたが、社員の方との交流を重ねる中で『少し大変でも、この環境、この社員さんたちとなら頑張れそう』という考えも最近生まれてきました。まだ最終決定していないので、ゆっくり考えていきたいなと思っています」



