マイナビは6月24日、grubioおよび東京科学大学田町キャンパス土地活用事業 産学官連携コンソーシアム準備会と共同で、企業と博士学生による対話型研究プロジェクトを開始したと発表した。このプロジェクトは、博士人材のキャリア選択肢を可視化し、多様な活躍機会の創出を目指す。
博士人材を取り巻くキャリア課題
近年、日本における博士人材のキャリアには課題が指摘されている。博士号の取得者数は諸外国と比較して依然として低い水準であり、民間企業への就職割合も限定的だ。また、卒業後の進路が明確でないケースが約3割存在するなど、キャリアの見えにくさも課題となっている。文部科学省は2024年に「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」を取りまとめ、博士課程への進学環境整備と博士人材の活躍促進を進めているが、企業側でも博士人材の採用や活用の場の整備に課題を抱えるケースがあり、相互理解を深める機会の創出が求められている。
プロジェクトの概要
こうした背景を受け、マイナビとgrubioは、企業と博士学生が直接対話する場を提供することで、博士人材のキャリア選択肢を可視化し、多様な活躍機会の創出を目指して本プロジェクトを開始した。プロジェクトは両社が主催し、東京科学大学田町キャンパス土地活用事業 産学官連携コンソーシアム準備会の協力のもと実施される。
意見交換会は複数回行う予定で、各回に企業1社と博士学生数名が参加。事前に学生が設定したテーマに基づき、博士人材のキャリア選択肢の広げ方について議論を行う。意見交換会の内容は「マイナビキャリアリサーチLab」にてレポートとして発信され、企業・学生・教育機関など幅広いステークホルダーに共有される。
初回意見交換会:富士通と博士学生が対話
初回の意見交換会では、富士通の採用担当者2名と研究員1名、博士課程在籍の学生3名が参加。事前に設定されたテーマに基づきディスカッションが行われた。学生からは「インターンシップの実態と博士採用の評価軸」「入社後の研究テーマ」「入社後の働き方とライフデザイン」、企業からは「博士学生が企業の研究開発職を選ぶ際の不安や重視すること」「研究開発職以外の職種をキャリアの選択肢に入れるために必要な要素」などが挙げられ、多角的な意見交換が行われた。
参加した学生からは「企業が博士に求めていることを聞けて参考になった」との感想が寄せられ、富士通の担当者からは「ご自身の経験をベースに語ってもらえてよかった」とのコメントがあった。
マイナビ担当者のコメント
マイナビ 産官学連携推進部企画推進課の首藤奨也氏は次のようにコメントしている。「本プロジェクトの意見交換会は、研究開発職の受け皿が限られる中、博士人材の経験やスキルは研究開発以外の分野でも活躍の場があるのではないかという仮説のもと、博士人材のキャリアの選択肢を広げ、多様なポジションでの活躍の道筋を示すことを目的に開催しました。特に印象に残ったのは、博士学生から寄せられた『専門分野以外の道に進むのは、積み重ねてきた経験や実績が崩れてしまうのではないかという懸念がある』という意見です。研究者としてのキャリアを一歩ずつ築いてきたからこそ生まれる切実な不安であり、博士人材のキャリア支援における本質的な課題のひとつであると感じました。一方で、『自分のスキルがどう企業で活かせるのか、具体的に示してもらうことができれば、キャリアの選択肢が広がると思う』『企業との接点がもっとあれば、キャリアのイメージが湧く』といった前向きな意見も多く寄せられました。今回の意見交換会では、参加者を限定した環境だったからこそ、博士学生が抱える率直な不安や本音、そして企業側の期待や考えが活発に共有されました。企業と博士学生が相互理解を深めるためには、このような対話の場を継続的に設けることが重要であると改めて感じています。今後もマイナビは、キャリア支援に携わる立場として、こうした課題に向き合いながら『博士人材の多様なキャリアの選択肢』を社会に発信することで、進路を検討する方々が、選択肢を広げられるきっかけづくりを行っていきたいと考えています。」
今後は、複数回の開催を通じて参加企業および学生の裾野を広げ、博士人材の多様なキャリア形成の支援と活躍機会の創出を目指すとしている。



