住宅購入者の8割が利用する住宅ローンに、新たな選択肢が登場した。みずほ銀行が展開する「借入時負担ゼロ型」住宅ローンは、業界で初めて借入時の初期費用を0円にし、その分を金利に上乗せする仕組みだ。早期完済を予定する利用者にとって、トータルコストを抑えられるメリットがあり、共働き世帯や住み替えを検討する層を中心に支持を広げている。
業界初の「借入時負担ゼロ型」、その仕組みとは
一般的な住宅ローンでは、取扱手数料として元金の2.2%程度を借入時に一括で支払うのが通例だ。この手数料は返済期間に関係なく定額で、繰上返済などで早期に完済しても戻ってこない。こうした慣行に疑問を感じる顧客の声を受け、みずほ銀行は2024年8月に「借入時負担ゼロ型」を発売した。
個人ローン推進部長の村田成穂氏は、「早期完済予定の顧客から、手数料が戻らないことへの疑問の声が寄せられていた。それに応える形で開発した」と説明する。同商品は、借入時の手数料を0円とする代わりに、通常の金利に年0.2%程度を上乗せする。一般的な手数料が元金の2.2%であることから、現在の金利水準では借入から13年以内に完済する場合にトータルコストが抑えられるという。
ただし、繰上返済を重ねると元金が減り利息負担も小さくなるため、損益分岐点は残額に応じて14年、15年と延びる可能性がある。
主な利用者層:共働き世帯と中高年層
村田氏によると、「借入時負担ゼロ型」の主な利用者は、比較的若い共働き世帯と40代後半から50代の層だ。共働き世帯は、子どもの成長に合わせて住み替えを検討するケースが多く、資金が早期に形成されるため選択肢が広がりやすい。一方、中高年層は子どもの独立を機に住み替え、退職金で完済を計画する例が多いという。
「借入時負担ゼロ型」は、こうした早期完済や住み替えを見据えたライフプランに適した商品として位置づけられている。
開発の背景:顧客の声を起点に
商品化の検討は販売開始の約1年前から始まった。村田氏は、「前例のない商品だったが、顧客の声に応えたいという思いが原動力だった。売り上げを伸ばすためではなく、確実に存在するニーズに応えることを軸に検討を重ねた」と語る。
みずほフィナンシャルグループは「ともに挑む。ともに実る。」をパーパスに掲げており、村田氏は「借入時負担ゼロ型は、お客さまとともにという思いを形にしたものの一つ。今後も小さな進歩を積み重ねたい」と述べた。
利用者の声と銀行のサポート体制
住宅ローンでは金利が最大の関心事だが、みずほ銀行の金利は業界最低ではない。それでも、「複数の金融機関を比較したが、借入時負担ゼロ型があるからみずほを選んだ」という声が寄せられている。
みずほ銀行では、住宅ローンに関連して「分割融資」や「買い先行」など多様なニーズに対応するサービスも提供。また、専門拠点「ローンコンサルティングスクエア」を首都圏や近畿圏に展開し、経験豊富なスタッフが対話を通じて最適なプランを提案している。
多様化するライフプランに対応
村田氏は、顧客のライフプランが多様化していると指摘する。以前は夫婦のどちらか一方が住宅ローンを組むのが一般的だったが、近年は共働き世帯の増加に伴い二人で組むケースが増え、住まい選びも「終のすみか」という固定観念から解放されつつある。
「自由度が広がる時勢だからこそ、住宅ローンも多様な選択肢を用意する必要がある」と村田氏は強調する。
今後の展望:選択肢としての提供を重視
現在、「借入時負担ゼロ型」はみずほ銀行の住宅ローン利用者の約2割が選択している。しかし、村田氏は「この数字を引き上げる目標は設定していない。必要な顧客に適切に届けることに重点を置く」と語る。
「金利以外の価値提供に注力し、顧客に寄り添う姿勢がみずほ銀行の基本。今後も対話を重ねながら、ともに成長していきたい」と述べ、今後の展望を示した。



