「ちょっと厳しく指導したら、パワハラだと言われた……」——。多くの管理職が部下からハラスメントを指摘されることを恐れ、本来行うべき指導まで控えてしまっている現状がある。
逆パワハラの実態と管理職の葛藤
部下から上司への「逆ハラスメント」が今、話題になっている。実はこの問題の本質は部下にあるのではなく、ハラスメント発生後の対処があいまいになっている会社組織にあるという。
パーソル総合研究所が全国の従業員2万8135人を対象に実施した「職場のハラスメントについての定量調査」によると、上司の81.7%が「部下がミスをしても、あまり厳しく咎めないようにしている」と回答した。「自分のマネジメントがハラスメントになるのではないかと気を使う」人も4割を超えている。
部下から見た上司の対応
部下にはどう映っているのか。同調査によると「上司からのフィードバックが少ない」が35.8%、「上司は自分を育てる気がないと感じる」が33.3%という結果に。上司が「配慮している」つもりの行動が、部下には「関心を持たれていない」と映っているのだ。
厚生労働省のハラスメント指針では、ハラスメントについて「業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しない」と明確に除外している。しかし、この基準が現場で使える形に「翻訳」されていない。
ハラスメント研修の課題
前述のパーソル総合研究所の調査は、企業が実施するハラスメント研修のうち「部下とのコミュニケーション方法」まで含む研修は約3割にすぎないと指摘している。つまり、管理職の多くは「何がパワハラに当たるのか」だけ教えられており、「どう伝えたらよいのか」は現場、つまり各々の判断に委ねられているのが現状だ。
ハラスメントを防いでも、その後の対応について説明がない——。このギャップが、管理職の指導力を委縮させ、結果的に職場のコミュニケーション不足を生んでいる。



