キオクシアHD河村副社長、米国上場は2027年4-6月期を想定
キオクシアHD、米国上場は2027年4-6月期想定

半導体メーカーのキオクシアホールディングス(キオクシアHD)は25日、東京都内で定時株主総会を開催した。同社の河村芳彦副社長兼財務統括責任者は、米国預託証券(ADR)を用いた上場を検討しており、時期として2027年の4月から6月ごろを想定していると明らかにした。米国証券当局の承認が必要となるが、将来の大型資金調達に向けた意義あるプロジェクトとして手続きを進めていると強調した。

株式分割も検討、個人投資家の参入促進へ

河村氏は株式分割についても「鋭意検討している」と述べ、会社を取り巻く状況を総合的に勘案し「適切な株の分割」を考える方針を示した。キオクシア株はAIブームを追い風に急上昇しており、単元株(100株)の購入には約1000万円の資金が必要で、個人投資家にとってはハードルが高くなっている。米国上場や株式分割が実現すれば、海外投資家や個人投資家にとって同社株へのアクセスが容易になると期待される。

株主総会は想定超える約900人が参加

会場となった渋谷区のビルには、会社側の想定(300~500人)を大きく上回る約900人の株主が詰めかけ、立ち見を余儀なくされる参加者も出た。太田裕雄社長は総会冒頭で会場の混雑について陳謝した。太田氏は主力製品のNANDメモリーについて「まだまだ強いディマンドが続く」との見解を示し、10年後の事業展望として「データ量が増えるのは間違いない」と述べ、電力効率向上を課題に次世代製品に注力する方針を語った。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

株価は急騰、含み益1.5億円の投資家も

総会に出席した株主からは、株式分割を求める声が相次いだ。病院理事長の中井一広さんは2024年の上場時に購入した株が70倍に値上がりし、含み益が約6000万円になったと報告。「家族や知り合いに勧めたいが、個人が簡単に買える値段ではなくなった」と述べ、経営陣に株式分割の検討を要望した。埼玉県から参加した加藤勝雄さん(82)は、株式分割への前向きなコメントを評価し、学生でも買いやすい水準になれば若い世代の投資参入につながると期待を示した。

また、町野博さん(83)は2年前にパソコン修理をきっかけにキオクシア株への投資を開始。含み益はすでに1億5000万円を超え、信用取引分は手じまう可能性があるものの、現物は「売るつもりはない」と語った。

専門家の見方:株価にポジティブ、長期的評価向上も

三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャーは、ADR上場について「これまでさまざまな理由でキオクシア株にアクセスできなかった海外投資家にも投資しやすくなり、株価にポジティブだろう」と評価。キオクシア株を保有するアルファ・ビンワニ・キャピタルの創業者アシュウィン・ビンワニ氏も、短期的にボラティリティーが高まる可能性があるものの、長期的には市場での評価水準向上につながると指摘した。

業績と株価の動向

キオクシアHDの株価は急上昇を続け、時価総額でトヨタ自動車を抜いて日本一となった。しかし、足元では調整局面を迎えており、今月中旬に初の10万円台に乗せた後、値動きの荒い展開が続いている。25日は競合の米マイクロン・テクノロジーの好決算を受けて一時前日比15%高と大幅続伸したが、22日の場中に付けた上場来高値(11万2700円)には届いていない。

役員報酬も増加、会長報酬は15倍に

業績と株価の劇的な改善に伴い、役員報酬も大幅に増加。前期(2026年3月期)有価証券報告書によると、ステイシー・スミス会長の前期報酬は44億3100万円と、前の期比で15倍に膨らんだ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

投資家の期待:日本のAI旗頭に

総会に参加した投資家の武沢信行さんは、AIを代表する銘柄として製造業ではキオクシア以外に日本にはないと指摘し、「日本のAIの旗頭」のような存在になってほしいと期待。時価総額で「早く100兆円、200兆円を目指していってほしい」と述べた。

アセットマネジメントOneの見通し

キオクシアHD株を保有するアセットマネジメントOneの石田万穂ファンドマネジャーは、メモリ需給のひっ迫が継続し、メモリ価格の上昇は当面続くとの見通しを示した。株価は直近で下落しており「割安」との認識を示し、市況悪化時には一時的な調整の可能性があるが、株主還元の規模次第で下値をサポートする展開も期待できると指摘した。