投資家の藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長)が、フジ・メディア・ホールディングス(フジテレビ)の株式を取得した理由について、プレジデント編集長の星野貴彦氏との対談で明かした。同氏は「日経平均10万円時代が来る」と予測し、その背景にある日本企業の課題と可能性を指摘した。
フジテレビ株取得の背景
藤野氏は、フジ・メディアHDの株式を取得した理由について、「良い会社かどうかではなく、変わる可能性があるかどうかが重要だ」と説明する。同氏は投資家として、企業の将来性や改革の余地に着目しており、フジテレビが抱える課題を改善する余地があると判断したという。
「重要なのは『良い会社』かどうかではない。変わる意思と能力があるかどうかだ」と藤野氏は強調する。同氏はこれまでにも多くの企業に投資し、変革を促してきた経験を持つ。
「お台場が良くない」の真意
対談の中で、藤野氏は「全員が口を揃えて言う『お台場が良くない』という言葉の真意」について語った。フジテレビの本社があるお台場は、立地やオフィス環境が従業員の士気や創造性に影響を与えているという。
「お台場は物理的にも心理的にも孤立している。社員が外の世界と触れ合う機会が少なく、閉鎖的な文化を生んでいる」と藤野氏は指摘する。この問題はフジテレビに限らず、多くの日本企業が抱える課題でもある。
星野編集長も「オフィス環境が企業文化に与える影響は大きい」と同意し、働き方改革の一環としてオフィス環境の見直しが必要だと述べた。
「平成企業」の失敗と日本企業の変革
藤野氏は、日本企業の変革が進まない理由として、「ダメだったのは実は『平成企業』」だと指摘する。平成時代に成長した企業は、バブル崩壊後の停滞期に適応できず、旧態依然とした経営を続けてきたという。
「関心は『ゴルフ・健康・勲章』の3つ。これでは変われない」と藤野氏は辛辣に語る。同氏は、経営陣の関心が自己利益や名誉に向いており、企業の本質的な改革に目を向けていないと批判する。
さらに、これまでの日本の大企業では「全員がプロパーで男で東大卒」という同質性が問題だったと指摘。多様性の欠如がイノベーションを阻害してきたという。
「伊藤レポート」の画期的な意義
藤野氏は、2014年に経済産業省が発表した「伊藤レポート」を画期的なものとして評価する。このレポートは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、資本効率やガバナンスの改革を提言した。
「『サステナブル・グロース』の本当の意味は、単なる成長ではなく、持続可能な形での価値創造だ」と藤野氏は解説する。同氏は、日本企業がこの考え方を真に理解し、実践する必要があると強調する。
次世代リーダーの出現
藤野氏は「いままた日本人の悪いクセが出ている」と警鐘を鳴らす。それは、変化を恐れ、現状維持に固執する傾向だ。しかし、その一方で「次世代リーダーは至るところにいる」と希望も語る。
「若い世代には、既存の枠組みにとらわれない発想を持つ人が増えている。彼らが日本企業を変える原動力になる」と藤野氏は期待を寄せる。
星野編集長も「企業の変革はトップダウンだけでなく、現場からのボトムアップも重要だ」と述べ、次世代リーダーの育成が急務だと指摘した。
この対談は、2025年3月11日に収録され、プレジデントのYouTubeチャンネルで公開された。後編では「日経平均10万円時代」の到来や、インフレ、新NISAの活用法などについてさらに深掘りされている。



