金利上昇で得する人、沈む人:仕組み預金のカラクリと金融庁規制強化
金利上昇で得する人、沈む人:仕組み預金のカラクリ

金融庁は今夏、「仕組み預金」と呼ばれる特殊な金融商品に対する規制を強化する方針だ。高い利回りをうたう一方で、銀行側に有利な構造となっており、預金者にとってはリスクが伴う。ファイナンシャルプランナーの嶋田哲裕氏(L&F代表)がその実態を解説する。

預金ではなく投資商品

仕組み預金は「預金」という名称から安全性を連想しがちだが、実際には元本割れの可能性がある投資商品である。銀行にとっては収益性の高い商売であり、預金者が有利になることは構造上ありえないと嶋田氏は指摘する。

仕組み預金には大きく二つのタイプがある。一つ目は「満期が変わるタイプ」で、満期が「最短1年・最長10年」などと定められ、満期の決定権は銀行側にある。金利が一定の「フラット型」と段階的に上昇する「ステップアップ型」がある。二つ目は「元本の通貨が変わるタイプ」で、満期は1カ月程度と短く、満期時に受け取る通貨が為替レートによって円または外貨に決まる。利息は円で支払われる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

満期が変わるタイプのリスク

満期が変わるタイプには二つの落とし穴がある。第一に、原則として中途解約ができないことだ。やむを得ず解約する場合には「調整金(損害金)」が発生するが、その計算式は明示されておらず、実際にいくら差し引かれるかは事前にわからない。

第二に、銀行が預金者にとって不利なタイミングで満期を設定する可能性がある。金利が低い時期に満期を迎えさせ、高い金利を長期にわたって享受させない仕組みだ。例えば、市場金利が上昇局面にあるとき、銀行は満期を短く設定して預金者に低い金利を適用し、逆に金利が低下局面では満期を長く設定して高い金利を固定する。このように、銀行は常に有利な条件で運用できる。

元本の通貨が変わるタイプのリスク

元本の通貨が変わるタイプでは、為替リスクが伴う。満期時に円と外貨のどちらで元本を受け取るかは、あらかじめ決められた為替レートの条件により銀行が決定する。例えば、円高が進行した場合に外貨で受け取ることになれば、円換算で元本が目減りする可能性がある。一方、円安なら円で受け取るため、為替差益を享受できない。

金融庁の規制強化の背景

金融庁が規制強化に踏み切る背景には、高齢者を中心に仕組み預金の販売をめぐるトラブルが相次いでいることがある。商品の複雑さから、預金者はリスクを十分に理解しないまま契約し、後になって想定外の損失を被るケースが報告されている。規制の内容は、販売時の説明義務の厳格化や、商品設計の透明性向上が柱となる見通しだ。

嶋田氏は「仕組み預金は預金保険の対象外ではなく、投資商品としてのリスクを認識すべきだ。特に高齢者は、『預金』という言葉に惑わされず、仕組みを理解した上で慎重に判断してほしい」と警鐘を鳴らす。

金利上昇局面で「高金利」を謳う商品に飛びつく前に、その裏にあるカラクリを見極めることが重要だ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ