今年5月末、地方銀行業界に衝撃が走った。総合電機大手の日立製作所がメインフレーム向けオペレーティングシステム(OS)「VOS3」の販売・保守を終了すると発表したからだ。メインフレームとは、金融機関などの膨大なデータ処理を行う企業向けに独自に設計された大型コンピュータのこと。安定稼働に優れる一方で、維持費の高さや、古くブラックボックス化したシステムを扱える人材の確保が課題とされてきた。
日立のメインフレーム完全撤退
日立はすでに2017年にメインフレームのハードウェア製造を終了していたが、OSの提供は続けていた。だが今回、VOS3の販売を27年11月、保守を34年12月に終了する予定。OSの販売終了により、日立はメインフレーム事業から完全撤退する形となる。
地銀の勘定系システムへの影響
日立のメインフレーム撤退は、地銀界に大きな影響を及ぼす。中でも、日立が地銀向けに提供する共同利用型勘定系システム「NEXTBASE」は現在も日立のメインフレーム上で稼働しており、三十三銀行のほか第二地銀を中心に全10行が採用している。
引き続きNEXTBASEを利用するには、保守期限を迎えるまでにメインフレームからオープン系システムへと移行を進める必要がある。日立は東洋経済の取材に対し、「NEXTBASEはオープン環境への移行を前提に進めているが、現時点で決定事項はない」としている。そのうえで、「メインフレーム終了に伴うNEXTBASE事業への影響はない」(日立)という。
移行に伴うコスト負担
とはいえ、オープン化などの勘定系システムの大幅な更新に伴っては、大規模な追加コストが見込まれる。特に規模の小さい第二地銀各行にとっては、無視できないコストだ。
高知銀行の移行準備
そうした負担増を見越してか、NEXTBASE加盟行の間で気になる動きも出始めている。ある関係者は、「高知銀行が、北國銀行の勘定系システムに移行する方向で準備を進めている」と声を潜めながら打ち明ける。



