世界の巨大投資家144機関の運用実態が明らかに
インベスコ・アセット・マネジメントは6月29日、「第14回 インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ」の調査結果を発表した。調査対象は政府系ファンドや中央銀行など計144機関で、これらの機関は国の資産や外貨準備を運用する「国のお金を動かす巨大投資家」として知られる。対象機関の運用資産は合計で約29兆米ドル(日本円で約4,613兆円)にのぼる。
「レジリエンス」重視の運用戦略
調査では、中央銀行の71%、政府系ファンドの54%が、運用において「レジリエンス」(危機への強さ)がリターンと同じくらい重要になっていると回答した。背景には地政学リスクやインフレ、市場の急変などがあり、単に高いリターンを狙うだけでなく、想定外のショックが起きても大きく崩れにくい資産配分が求められている。
インフラ投資が急成長
政府系ファンドではインフラ投資への関心が高まっている。特にエネルギー安全保障や再生可能エネルギー、データセンターなどが注目分野だ。AIの普及で電力需要やデータ処理需要が増える中、こうしたインフラは長期的な成長分野と見られている。インフラ投資は、政府系ファンドにとって過去5年間で最も成長したオルタナティブ資産クラスになったという。
ETF活用の広がり
ETFの活用も広がっている。調査では、政府系ファンドや中央銀行などの39%がETFを利用していると回答した。ただし、使い方は機関によって異なり、中央銀行では新たな投資先へ効率よく資金を振り向ける手段として活用するケースが多く、67%が長期的な資産配分のために利用している。一方、政府系ファンドでは機動的な資産配分や流動性管理に活用するケースが目立つ。
AI投資への期待とリスク
AIについては、政府系ファンドの77%が長期的な成長をもたらす技術と見ている。一方で、52%はAI関連投資のリスクとして、特定の企業や市場に資金が集中しすぎていることを挙げた。AIそのものだけでなく、電力やデータセンターなど周辺インフラへの投資機会にも注目が集まっている。
中央銀行は金への関心も高める
中央銀行では、米ドルへの依存やインフレへの警戒感を背景に、金への関心も高まっている。調査では、3分の1を超える中央銀行が、今後3年間で金の保有比率を引き上げる意向を示した。金はインフレや地政学リスクへの備えとして、引き続き重要な資産と位置付けられている。
約4,600兆円という世界有数の資産を運用する政府系ファンドや中央銀行の投資動向は、世界経済の潮流を映す「羅針盤」ともいえる。今回の調査では、AIやインフラへの期待が高まる一方で、金やETFを活用した「守り」の姿勢も強まっていることが明らかになった。個人投資家にとっても、中長期の資産配分を考えるヒントになりそうだ。



